予約システムを開かないオーナーに予約状況を毎朝届ける方法|毎朝届く予約一覧のエクセルをグラフ画像にする構成と、新規・キャンセルを前日ファイルとの差分で出す理由
予約システムを開かないオーナーに予約状況を毎朝届ける方法|毎朝届く予約一覧のエクセルをグラフ画像にする構成と、新規・キャンセルを前日ファイルとの差分で出す理由
多店舗のフランチャイズや、オーナーが現場に立たない店では、予約管理システムの画面を毎日開くのはスタッフだけで、オーナーは「今日は何人入っているか」を把握していないことが珍しくありません。システムの画面を見れば分かる情報ですが、ログインして店と日付を選ぶ、という操作が毎朝の習慣に乗らないからです。この記事で紹介する構成の要点は次のとおりです。
- 予約管理システムの画面を自動操作せず、システムが毎朝メールで送ってくる予約一覧のExcelを起点にする。 書き出しを予約できる機能があるシステムなら、専用のメールアドレスに毎朝届くよう設定するだけで元データがそろう
- 届いたExcelは「印刷用のレイアウト」であることが多い。 見出し行が数行おきに繰り返され、店舗名は表の外に書かれている。行の位置を決め打ちせず、日付の形をした行だけを拾う
- オーナーに届けるのはPDFではなく、スマホで開ける縦長1枚の画像にする。 本日の予約を席ごとに横に並べたグラフ、次の営業日、この先1週間、次回予約の割合まで入れて、開いた瞬間に今日の形が分かる構成にする
- 見せ方は「見る人に馴染むか」で決める。 雑誌のような大きな数字や2色刷りの意匠より、やわらかい色と見慣れた向きのグラフのほうが、毎日開いてもらえる
- 新規予約とキャンセルの件数は、前日のファイルとの差分で出す。 顧客一覧に来店回数や最終来店日が無いシステムでは、1日分のファイルだけでは「増えた・消えた」が分からない。毎日のファイルを上書きせず残すのが前提になる
- 書き出しの時刻は営業前に固定する。 来店処理が済んだ予約は一覧に出ない仕様と見られるため、営業時間中に出した一覧は当日の件数が少なく見える
以下、名古屋のWEB制作会社graciautoが、愛知県を中心に20店舗以上を展開する白髪染め専門店フランチャイズ(2026年10月時点)の本部支援で、2026年10月に試作した「毎朝の予約ブリーフ」の構成と判断を紹介します。
なぜ画面を見てもらうのではなく、画像を届けるのか
この本部では、各店のオーナーが予約管理システムを日常的に開いていない、という課題がありました。システムの契約はあり、予約のデータは毎日たまっているのに、オーナーの目に触れていない状態です。
本部には2つの目的がありました。
| 目的 | 必要なもの |
|---|---|
| オーナーに今日・今週の予約の入り方を把握してもらう | 毎朝、操作なしで届く、ひと目で分かる形 |
| 本部で全店の予約の動きを統計として追う | 店舗別・日別の件数、新規予約とキャンセルの数 |
前者は「見に行く」仕組みでは解決しません。メールやLINEに毎朝届いていて、開けば1枚で分かる、という形にして初めて見てもらえます。
そこで、予約管理システム側に備わっている「予約一覧と顧客一覧を毎朝メールで送る」機能を使い、本部の専用アドレスに毎朝7時に各店のExcelが届くようにしました。あとは、そのExcelを受け取って画像に変える処理を本部側に置くだけです。システムの画面をプログラムで自動操作することはしていません。他社サービスの画面操作に依存すると、画面の改修で止まり、利用規約に触れるおそれもあるからです。この線引きは業務自動化は「どこまでやるか」で決まるで書いたとおりです。
手順1:届いたExcelの中身を確かめる
同じ「予約一覧」でも、システムによって中身は大きく違います。今回のExcelは、画面で見る一覧をそのまま印刷用に整えたレイアウトでした。実際に開いて確かめた点を挙げます。
| 確かめた点 | 今回のExcelの実態 | 読み取りへの影響 |
|---|---|---|
| 見出し行 | 9行ごとに見出しが繰り返される | 「1行目が見出し」の前提で読むと壊れる |
| 店舗名 | 表の外に「店舗名:◯◯」として書かれている | セルを走査して「店舗名:」で始まる文字列を拾う |
| 日付・時刻 | 「2026/10/03」「12:30」の文字列 | 日付の形に一致する行だけを予約として扱う |
| メニュー列 | 無い | メニュー別の集計はこのファイルではできない |
| 担当者列 | 全件が同じ値(ブランド名が入っている) | 担当者別の集計はできない。指名の有無は別の列にある |
| 所要時間 | 大半が60分。終了時刻が空の行もある | 終了が空なら開始+60分として扱う |
| 予約の区分 | 次回予約・ネット予約・通常予約の3種 | 色分けと「次回予約の割合」に使う |
印刷用レイアウトを読むときの要点は、「何行目に何がある」と決め打ちしないことです。行ごとに「2列目が日付の形で、3列目が時刻の形なら予約の行」と判定すれば、見出しの繰り返しや空行、店舗名の行をすべて読み飛ばせます。
もう1つ、別の予約管理システムのCSVを扱ったときの実測も載せておきます。そちらは59列固定のCSVで、「開始時間」「電話番号」のように同じ名前の見出しが複数あり、予約ステータスの表記が時期によって変わっていました。列名で取ると別の列を読み、ステータスを文字列で決め打ちすると表記の変更で黙って壊れます。列は位置で読み、ステータスは「表記→意味」の対応表を外に持ち、知らない値は集計に入れずに警告を出す、という作りが要ります。予約データの書き出しは、1本のファイルで確かめた前提が次の店や次のシステムで崩れる、と考えておくのが安全です。
手順2:席ごとの横向きグラフを自動で並べる
オーナーが最初に見たいのは「今日、何時に何件入っているか」です。これは表より、時間を横軸にした帯のグラフのほうが早く伝わります。予約管理システムの画面がその形だからです。
ただ、予約一覧には「どの席か」の情報がありません。そこで、席の割り付けは時間の重なりから自動で決めます。
- 当日の予約を開始時刻の順に並べる
- 1件ずつ、「直前の予約の終了時刻が自分の開始時刻以前になっている席」を上の段から探し、最初に見つかった段に置く
- 見つからなければ新しい段を1つ増やす
この手順だけで、同じ時間帯に重なる予約は別の段に分かれ、重ならない予約は同じ段に詰まります。段の数が、その日に同時に動く席数になります。実際の席番号とは一致しませんが、「今日は何人同時に入る時間帯があるか」を見るには十分です。
グラフの横軸は、営業時間で固定せず、その日の最初の予約から最後の予約の終了までに合わせて伸縮させます。予約が午後に寄っている日は午後だけを広く描けるので、1件ごとの帯に時刻と名前が収まります。1時間あたりの幅が十分あるときは「◯◯ 様」、狭い日は名字だけ、と表示を切り替えると、文字が帯からはみ出しません。指名のある予約は帯の右上に小さな点を置き、帯の色とは別に、位置で見分けられるようにしました。
手順3:1枚に入れる項目を4つに絞る
画像は、スマホの画面幅に合わせた縦長1枚にしました。HTMLで組み、幅400pxのページを3倍の解像度で撮影して、幅1200pxのPNGにしています。同じHTMLからPDFも出しているので、本部の保管用はPDF、オーナーへ送るのは画像、と使い分けられます。
入れた項目は次の4つです。
| 区画 | 内容 |
|---|---|
| 本日のご予約 | 人数を大きく、予約の区分ごとの件数をチップで、その下に席ごとの横向きグラフ |
| 次の営業日 | 翌日以降で最初に予約がある日の一覧。間に定休日や予約の無い日があれば「◯日(日)は定休日です」と1行で示す |
| この先1週間 | 日別の件数を棒グラフで。4週間先までの合計を1行添える |
| 次回予約の割合 | 先の予約全体のうち次回予約の割合を「◯%」と「10人中◯人」の2つの言い方で。区分ごとの件数を横帯で |
いちばん下に「◯/◯ 7:00 時点の予約です(このあとの変更は反映されません)」と入れています。画像は作った瞬間の状態で止まるので、見た人が「今朝の時点」と分かる注記は必須です。これが無いと、午前中にキャンセルが入ったあとに画像を見たオーナーと、画面を見ているスタッフの間で認識がずれます。
見せ方は「毎日開いてもらえるか」で決める
試作は1日で何案か作って比べました。白地に黒と深緑の2色、大きな数字と番号付きの見出しで組んだ雑誌のような案も作りましたが、採用したのは薄いグレーの地に白いカードを置き、予約の区分をミント・ピーチ・ラベンダーの淡い3色で塗り分けた案です。
理由は単純で、見る人がオーナーだからです。デザインとして目を引く案より、見慣れた向き・やわらかい色・短い言葉のほうが、毎朝開く資料には向いています。本日の予約グラフも、縦に時間を流す案と、予約管理システムの画面と同じ「横が時間・縦が席」の案を比べ、後者にしました。オーナーが普段たまに見る画面と向きが同じなら、説明なしで読めます。
数字の書体も見ておきます。英字の見出し書体には、数字の高さが文字ごとに上下する「オールドスタイル数字」が既定のものがあり、小さく表示すると「11」が「II」に見えることがあります。数字を大きく見せる資料では、高さのそろう数字を指定するか、日本語のゴシック体で数字も描くほうが安全です。
新規・キャンセルは前日のファイルとの差分で数える
本部の統計で欲しいのは、日別の件数だけでなく「今日、新しく入った予約は何件か」「キャンセルは何件か」です。ところが、今回のシステムの顧客一覧には来店回数も最終来店日も無く、予約一覧にも「いつ入った予約か」の列がありません。1日分のファイルをいくら読んでも、増減は分かりません。
そこで、新規とキャンセルは前日のファイルとの差分で出す方針にしました。本部の統計側はこれから組む段階で、判定はこう決めるのが筋だと考えています。
| 判定 | 条件 |
|---|---|
| 新規予約 | 今日のファイルにあって、前日のファイルに無い予約(カルテ番号・来店日・開始時刻の組で照合) |
| キャンセル | 前日のファイルにあって、今日のファイルから消えた、来店日が今日以降の予約 |
| 変更 | 同じカルテ番号で、消えた予約と増えた予約が同時にある場合。キャンセルと新規の両方には数えない |
この設計には前提が2つあります。1つは、毎日のファイルを上書きせずに日付付きで残すこと。前日の版が無ければ差分は出せません。メールで届く添付ファイルを日付ごとに保存する取り込みの作り方は、Macのメールに毎日届く添付Excelを自動で取り込む方法に書きました。
もう1つは、照合の対象を「来店日が今日以降」に限ることです。来店が済んだ予約は翌日以降のファイルに出ないと見られるため、過去日まで照合すると、来店した人がすべて「キャンセル」に数えられてしまいます。
届け方と、名前を出すかどうか
画像を誰にどう届けるかは、店の体制で決めます。選択肢と判断の軸は次のとおりです。
- オーナー個人のLINEへ画像で送る。 開く手間がいちばん少ない。ただしLINE公式アカウントの一斉配信はグループLINEに届かないので、店のスタッフグループに流したい場合は構成が変わる(LINE公式アカウントの一斉配信はグループLINEに届かない)
- メールで送る。 届いた予約一覧と同じ経路に返す形で、仕組みがいちばん簡単。開く手間はLINEより増える
- 本部の管理ページに置いて更新だけ通知する。 月次の書類と同じ置き場にまとめたいときの形。月次レポートPDFの配り方と揃えられる
もう1つ決めることがあります。画像にお客様の名前を出すかどうかです。予約一覧には名前が入っていて、席ごとのグラフに名字があるほうがオーナーには分かりやすい。一方で、画像はスクリーンショットで簡単に外へ出ます。本部の統計には名前は要らないので、本部用の画像は名前なし、オーナー用は店の判断で名字のみ、というように、届け先ごとに出す項目を変えられる作りにしておくと後で困りません。
起こりうるトラブルと、先に打っておく手
この仕組みを運用に乗せるときに想定しておく点です。どれも設計の段階で防げます。
- 書き出しの時刻が営業時間中にずれる。 正午すぎに出した一覧を確かめたところ、当日午前の予約が入っていませんでした。来店処理が済んだ予約は一覧に出ない仕様と見られます。昼に出した一覧をもとにすると、午前の予約が無かったことになるので、書き出しは営業前の時刻に固定し、画像の注記にも時刻を入れます
- 「次の営業日」に予約0件の定休日が出る。 日付ごとに予約をまとめる処理で、参照しただけの日付に空の入れ物ができる作りになっていると、翌日が定休日でも「次の営業日は◯日(日)・0名様」と出ます。「予約が1件以上ある日」だけを候補にします
- 見出しの繰り返しや列の追加で読めなくなる。 印刷用レイアウトは画面側の改修で行の構造が変わります。日付と時刻の形で行を判定する作りにし、読めた件数が前日と大きく違う日は画像を送らず本部に警告だけ出す、という止め方を入れる前提で設計します
- 別のシステムを使う店が混ざる。 書き出し形式はシステムごとに別物です。読み取り部分をシステムごとに分け、共通の形(来店日・開始・終了・区分・指名・名前)に変換してから描画に渡す構成にしておくと、店が増えても描画側は変えずに済みます
まとめ
- オーナーに予約状況を見てもらうなら、「見に行く画面」ではなく「毎朝届く1枚」にする。予約管理システムの自動メール送信を起点にすれば、画面の自動操作は要らない
- 届く予約一覧は印刷用レイアウト。行の位置を決め打ちせず、日付・時刻の形で予約の行だけを拾う
- 席の割り付けは時間の重なりから自動で決め、横軸はその日の予約の範囲に合わせて伸縮させる
- 1枚に入れるのは、本日の予約・次の営業日・この先1週間・次回予約の割合の4区画。作成時刻の注記を必ず入れる
- 見せ方は、見る人に馴染むやわらかい色と見慣れた向きを優先する
- 新規・キャンセルは前日のファイルとの差分で出す。毎日の版を残し、照合は来店日が今日以降の予約に限る
- 届け先ごとに名前を出すかを変えられる作りにし、書き出し時刻は営業前に固定する
予約データは、どの店にも毎日たまっています。足りないのはデータではなく、それを見る人の手元まで運ぶ仕組みです。graciautoでは、予約・売上・口コミといった店の日々のデータを、店舗ごとの月次レポート作成の自動化から、試作中の毎朝のブリーフのような1枚まで、見る人に合わせた形で届ける仕組みづくりを支援しています。オーナーがシステムを開かないまま何か月もたっている、という状態でしたら、まずは今あるシステムの書き出し機能を一緒に確かめるところからご相談ください。