サーチコンソールのクリック率が下がったのは悪化ではない|表示回数が伸びた月にCTRが薄まる構造と、直すべき記事の絞り込み方
サーチコンソールのクリック率が下がったのは悪化ではない|表示回数が伸びた月にCTRが薄まる構造と、直すべき記事の絞り込み方
サーチコンソールを月に一度開いたら、表示回数は大きく伸びているのにクリック率(CTR)が下がっていた。前の月は2%あったのに今月は1.4%。「記事の質が落ちたのか」「タイトルを全部直すべきか」と不安になる。ホームページやブログを運用している店舗経営者、サイトを預かるWEB担当者から、この相談をよく受けます。
先に結論を書きます。表示回数が大きく伸びた期間にサイト全体のクリック率が下がるのは、ほとんどの場合「悪化」ではなく、低い順位で新たに拾われた表示が分母に加わって薄まっただけです。見るべきは全体のCTRではなく、クリック数の絶対値と、上位に出ているクエリごとのCTRです。そして直す対象は「順位が6〜9位まで来ているのにCTRが1%前後の記事」だけに絞ります。全体のCTRを見て一律にタイトルを直すのは、作業量が増えるうえに効果測定まで濁らせるので避けてください。
弊社は名古屋でホームページ制作と店舗向けのWeb運用支援を行っており、自社サイトのブログを230本超、サーチコンソールとGA4のAPIで5日ごとに自動分析しながら運用しています。この記事では、自社サイトで実際にCTRが下がった28日間の数字を使って、薄まる構造、悪化かどうかを判定する手順、直すべき記事の絞り込み方、タイトルを直すときの注意点を整理します。
結論:サイト全体のクリック率は「記事の成績表」ではない
サイト全体のCTRは、クリック合計を表示合計で割った数字です。分子(クリック)と分母(表示)の両方が動くので、記事の良し悪しとは別の理由で上下します。
自社サイトの実測を並べます。直近28日と、その前の28日の比較です。
| 指標 | 前の28日 | 直近28日 | 変化 |
|---|---|---|---|
| 表示回数 | 11,902 | 21,957 | +84% |
| クリック数 | 241 | 315 | +31% |
| CTR | 2.02% | 1.43% | 低下 |
| 平均掲載順位 | — | 10.8位 | — |
CTRだけを見れば「2.02%から1.43%に落ちた」です。しかしクリック数は241から315に増え、GA4で見たオーガニック検索からの訪問も356から490へ38%増えています。記事を読みに来る人は増えている。減ったのは「表示1回あたりのクリック」という比率だけです。
この2つを分けて読めるかどうかが、判断の分かれ目です。クリック数が増えていて、CTRだけが下がっているなら、それは表示の裾野が広がったことの副作用です。逆に、クリック数そのものが減っているなら初めて「悪化」を疑います。
なぜ表示が増えるとCTRが薄まるのか
表示回数が短期間で大きく伸びるとき、その増分の大半は1ページ目ではなく、15〜30位あたりの低い順位で発生します。Googleが新しいクエリでサイトを候補に入れ始めた段階では、まず2〜3ページ目に出ることが多い。ここで表示は付きますが、2ページ目以降はほとんどクリックされません。
結果として、分母の表示回数は大きく膨らむのに、分子のクリックはほとんど増えない。全体のCTRは機械的に下がります。
自社サイトの内訳を見ると、この構造がそのまま出ていました。
| 区分 | 状態 |
|---|---|
| 上位に出ているクエリ群 | CTRは2.8〜11.1%で、前の期間と変わらず健全 |
| 新たに増えた15〜30位の表示 | クリックはほぼゼロ。表示だけが積み上がる |
| サイト全体 | 上と下を合算した結果、CTRが2.02%→1.43%に薄まる |
上位のクエリは何も悪くなっていません。全体CTRが下がって見えるのは、下位の大量表示が「薄めた」ためです。
同じ構造は、それ以前の期間にも出ていました。10位以内に入るクエリが35件から157件へ4.5倍に増え、表示が926から2,126に伸びた4週間で、CTRは2.92%から1.51%へ下がっています。このときもクリック数は27から32へ増えていました。順位と表示が大きく勝った月ほど、全体CTRは下がって見える。これは異常ではなく、伸びているサイトで繰り返し観測される形です。
悪化かどうかを判定する4つの順序
全体のCTRが下がったとき、次の順番で見ると判断を誤りません。
1. クリック数の絶対値が増えているか
最初に見るのはCTRではなくクリック数です。表示が増えてクリックも増えていれば、その期間は前進しています。クリック数が減っている場合だけ、次の段階で原因を探します。
2. 平均掲載順位の低下も「悪化」と決めつけない
表示が低順位で増えると、平均掲載順位も下がって見えます。新たに20位台で拾われたクエリが平均に入るからです。平均順位は「サイト全体の実力」ではなく「表示されたクエリの順位の平均」なので、裾野が広がるほど数字は悪く見えます。これもクリック数と合わせて読みます。
3. ページ単位ではなく、クエリ単位で上位群のCTRを確認する
サーチコンソールの「検索パフォーマンス」でクエリのタブを開き、順位が10位以内のクエリだけに絞ってCTRを見ます。ここが前の期間と同じ水準を保っていれば、下がったのは下位群の影響です。ここが落ちていれば、タイトルや説明文が検索語と噛み合わなくなっている可能性を疑います。
4. 直す対象を「順位6〜9位でCTR1%前後」に絞る
上位群の中でも、順位が6〜9位まで来ているのにCTRが1%前後しかないページだけが、タイトルや説明文の改修で動く対象です。1ページ目の下のほうに出ていて、スニペットを見た人が選んでいない状態だからです。11位以下はタイトル以前に順位を上げる領域で、別の手が要ります。2ページ目の記事の直し方は「検索順位2ページ目の記事から直す|あと一歩ページの見つけ方と上げ方」に分けて書いています。
直すべき記事の絞り込み方(実測で3つに分かれた)
自社サイトでは、56日分のデータから「表示200回以上かつCTR2%未満」の条件で23本を機械的に抽出し、表示回数の多い順に12本を精査しました。精査すると、同じ「CTRが低い」でも原因が3つに分かれ、打つ手がまったく違いました。
A. タイトル改修が効く群(順位6〜9位)
1ページ目に出ているのにクリックされていない記事です。原因はタイトルの語彙か長さにありました。
| 記事 | 表示 | 順位 | CTR | 原因 |
|---|---|---|---|---|
| LINEの応答が反応しない | 3,085 | 8.0位 | 1.10% | 実際に検索されている「キーワード応答」の語がタイトルに無い |
| AIとLINEの連携手順 | 1,603 | 8.5位 | 1.12% | 検索されているのは短い製品名なのに、タイトルは長い正式名称と記号で書いていた |
| メールをLINEへ自動転送 | 488 | 8.9位 | 0.41% | 58字で検索結果に収まらず、冒頭が検索語と噛み合っていない |
| Excelの表をA4 1枚のPDFに | 452 | 6.7位 | 0.00% | 85字で、検索結果に出る冒頭30字の後ろを全て捨てていた |
共通しているのは、タイトルに「検索されている言葉そのもの」が入っていないか、長すぎて検索結果で切れているかのどちらかです。この4本はタイトルだけを差し替え、本文とH1は触っていません。
B. タイトルでは直らない群(検索意図のズレ)
もっとも大きな取りこぼしはここにありました。「LINE公式アカウントの友だちが増えない原因」という記事が、表示1,811回・8.7位で出ているのにCTRは0.17%。順位は良いのに、12本の中で最低の数字です。
流入クエリを見ると、「友だち追加できない」「追加できないのはなぜか」という不具合の対処を探す検索が約364表示ある一方、記事の主題である「友だちが増えない」という集客の検索は55表示しかありませんでした。7対1で主題とズレています。検索した人はスニペットを見て「探している内容ではない」と判断し、素通りしていた。
順位が良いのにCTRが極端に低いのは、タイトルの問題ではなく検索意図のミスマッチのサインです。この場合、タイトルを検索語に寄せると、今度は開いた人が本文で裏切られて直帰します。正しい手は、その検索意図に答える記事を別に新規で書き、既存記事の冒頭に「その症状はこちら」と1行リンクを置くことでした。実際に「LINE公式アカウントから友だち追加できない原因と対処」を新規で公開しています。
C. 順位が20位以下の群(タイトル以前)
表示937回で28.2位、表示701回で31.5位、といった記事です。表示は多いのに1ページ目に入っていないので、CTRは構造的に上がりません。ここはタイトルではなく本文の厚みや内部リンクの領域で、絞り込みの段階で除外しました。
判定が別サイトに飛んだ例
自社サイトの店舗紹介ページが、支援先の美容室の店名による指名検索で10.1位・表示1,230回・CTR0.65%になっていました。これは自社サイトのタイトルの問題ではなく、本来ヒットすべき店舗側のサイトが指名検索に弱い可能性を示しています。CTRが低い理由を追うと、直すべき対象が別のサイトにあることもあります。
タイトルを直すときの4つの注意点
A群と判定した記事のタイトルを直す段階で、押さえておくべきことがあります。
文字数ではなく表示幅で判断する
検索結果に出るタイトルは文字数ではなくピクセル幅で切れます。目安は約600pxです。日本語の全角は1字あたりの幅が広く、半角英数は狭い。今回差し替えた4本は42〜45字ありましたが、半角英数が多いため実測は490〜518pxで、目安の内側に収まりました。「40字を超えたから切れる」と字数で判断すると、短くしなくていいものを短くしてしまいます。表示幅の測り方は「SEOのタイトルは何文字までか|文字数でなく表示幅で決める直し方」に書きました。
検索結果に出るタイトルと、ページの見出しは別物
WordPressでSEOプラグインを使っている場合、検索結果に出るのはプラグイン側のSEOタイトルで、記事のH1(本文の大見出し)ではありません。長いタイトルを洗い出すときにH1を基準にすると、対象を数え間違えます。自社サイトでも、H1基準では157本が40字超に見えたのに対し、実際に検索結果で切れていたSEOタイトルは60本で、作業量は3分の1以下でした。何が検索結果に出ているのかを、対象ページのHTMLで確かめてから数えるのが確実です。
差し替える前に元のタイトルを保存する
タイトルの差し替えは、悪化したら元に戻せる状態で行います。変更前のタイトルを記事IDと一緒にファイルへ保存し、戻すときはそのファイルから一括で復元できるようにしておきます。もともとSEOタイトルが空で、H1がそのまま検索結果に出ていた記事は、復元すると「空」に戻る点も記録しておくと混乱しません。
効果測定は前14日と後14日で、直後には見ない
差し替えた効果は、Googleが再クロールしてから検索結果に反映されるまで数日から2週間かかります。差し替えた翌日にサーチコンソールを見ても何も変わっていないのが正常です。判定は「変更前14日 vs 変更後14日」で行い、その期間中は同じ記事に説明文の変更や本文加筆を重ねないようにします。重ねると、どの施策が効いたのか分からなくなります。
起こりうる誤読と、先回りの見方
CTRの数字を読むときに、判断を誤らせる状況が3つあります。どれも数字自体は正しく、読み方だけが間違うものです。
ページ単位のグラフが急落しても、記事が死んだとは限らない
URLの構造を変えた直後は、同じ記事の評価が旧URL・新URL・末尾スラッシュの有無の違いで2〜3本に分散します。ページ単位でフィルタしたグラフは「ある日を境にゼロ」に見えますが、クエリ群の合計とサイト全体で見ると変わっていない、という形になります。自社サイトでも、主力記事が3つのURLに表示211・169・7と割れており、実際にはすべて正しく転送されていました。ページ単位・クエリ群・サイト全体の3層で見ると、この誤読は防げます。移行中はクリックが2つのURLに分かれるので、CTRも実態より悪く見えます。タイトル改修の効果測定はURLの統合が落ち着いてから行います。
期間の合計だけで「重複ページが食い合っている」と決めない
旧URLが期間の集計に117本・23クリック残っていると、新旧で同じクエリを食い合う「カニバリ」を疑いたくなります。しかし日別に割ると、旧URLの表示は8月中旬に254回あったものが9月上旬には3回まで消えており、転送も正規URLの指定も正常でした。残っていたのはGoogle側の処理中の残像です。期間集計で疑いが出たら、日別に割って生死を確かめる。これで不要な301や正規URLの変更を避けられます。短期間に転送設定を何度も変えるほうが、検索エンジンを混乱させます。
全体CTRを見て一律に直すと、測定が濁る
全体のCTRが下がったからと、表示のある記事のタイトルを一斉に直すと、どの変更がどう効いたかを切り分けられなくなります。ましてや低順位で表示が増えただけの記事は、直しても数字が動きません。対象を「6〜9位でCTR1%前後」に絞ると、今回のケースでは230本超のうち4本だけでした。直す本数が少ないほど、効果測定は明瞭になります。
まとめ
サーチコンソールのクリック率が下がったときの見方を整理します。
- 全体CTRは、クリック合計を表示合計で割った比率。表示が低順位で大きく増えた月は、機械的に下がる
- 最初に見るのはクリック数の絶対値。増えていれば前進で、CTRの低下は裾野が広がった副作用
- 平均掲載順位の低下も同じ理由で起きるので、単独では悪化と判断しない
- 上位10位以内のクエリのCTRが前の期間と同じ水準なら、下がった原因は下位群にある
- 直す対象は「順位6〜9位でCTR1%前後」の記事だけ。20位以下はタイトル以前、順位が良いのに極端に低い記事は検索意図のズレを疑う
- タイトルは文字数でなく表示幅で判断し、検索結果に出ているのがH1かSEOタイトルかを確かめてから数える
- 差し替え前に元のタイトルを保存し、判定は前14日と後14日で行う。直後には見ない
- URL移行中はページ単位で急落して見えるので、クエリ群とサイト全体の3層で見る
表示回数が伸びてCTRが下がった月は、記事が悪くなった月ではなく、Googleがサイトを候補として広く出し始めた月です。慌てて全部を直さず、クリック数と上位群の数字で落ち着いて判定し、直すべき数本だけに手を入れてください。サーチコンソールとGA4をAPIで自動取得して、この判定を毎回の手作業にしない流れは「GA4とサーチコンソールでブログを改善する実務フロー」にまとめています。