見積が3プランで出てきたときの読み方|真ん中を選ぶ前に確認する4項目
見積が3プランで出てきたときの読み方|真ん中を選ぶ前に確認する4項目
ホームページやLINE構築を制作会社に相談すると、見積が3プランで返ってくることがあります。梅・竹・松、A・B・C、ライト・スタンダード・プレミアム。呼び方は違っても構造は同じです。
そして多くの発注者が、真ん中を選びます。
結論から書きます。真ん中を選ぶこと自体は、たいていの場合で正解です。 ただし「なんとなく無難だから」で選ぶと、あとで足りないものが出てきて追加費用になります。真ん中を選ぶ前に確認すべきなのは、次の4項目です。
- 上のプランとの差分が「作業」なのか「回数・期間」なのか
- 公開後に自分でどこまで触れるのか
- 原稿・写真は誰が用意するのか
- どこからが「別途見積」になるのか
この4つを聞いてから真ん中を選べば、そのプランはほぼ間違いなく機能します。逆に、この4つを確認せずに選んだ真ん中は、公開の直前か直後に必ず揉めます。
以下、実際に3プランを組んで提示してきた側の設計意図から、なぜこの4項目なのかを順に説明します。
なぜ制作会社は3プランで出してくるのか
まず前提を共有しておきます。3プランは、発注者を迷わせるための仕掛けではありません。1本の金額で出すと、話が「その金額が高いか安いか」だけになってしまうからです。
見積を1本で出した場合、返ってくる反応は「予算オーバーです」か「わかりました」の二択になります。そこから始まるのは値引き交渉であって、内容の話ではありません。
3本で出すと、会話の軸が「いくらか」から「どこまでやるか」に変わります。これは発注者にとっても利益があります。金額だけで比べていたら見えなかった「何が含まれていて、何が含まれていないのか」が、比較の形で目に入るからです。
実際、弊社がBtoBマーケティング支援会社のコーポレートサイトを受注したときの3プランは、次の構成でした。
| プラン | 金額 | 内容の差 |
|---|---|---|
| 梅/シンプル構築 | 35万円 | WordPress構築・レスポンシブ・12ページ相当・基本SEO設定。修正2回まで。納期4〜6週間 |
| 竹/ブランド作り込み | 55万円 | 梅+オリジナルデザイン設計・CTA最適化・資料ダウンロード導線・軽微アニメーション。修正3〜5回。納期6〜8週間 |
| 松/戦略設計込み | 70万円 | 竹+情報設計・マーケティング導線設計・実績や声の見せ方設計・公開後1ヶ月サポート。納期8〜10週間 |
この案件では、先方が選んだのは梅の35万円でした。値引き交渉は一度もありませんでした。
理由は先方のコメントに明確に出ています。「HPはこちらで完成ではなく、構築を繰り返していく予定なので、土台となる部分を仕上げていただけましたら幸いです」。
つまりこの会社は、自社で運用を続ける前提があったから、いちばん下のプランで正解だったわけです。逆に言えば、運用を自社で回す体制がない会社が同じ35万円を選ぶと、公開した瞬間に止まります。
確認項目①:上との差分が「作業」か「回数・期間」か
3プランを並べたとき、いちばん重要なのは金額差ではなく差分の性質です。差分には2種類あります。
- 作業の差:やることそのものが増える(ページが増える、機能が増える、設計工程が追加される)
- 回数・期間の差:やることは同じで、修正回数やサポート期間が増える
この2つは、判断の仕方がまったく違います。
作業の差は、後から足すと高くつきます。 たとえば「資料ダウンロード導線」や「情報設計」は、公開後に追加しようとすると、既存の構造に手を入れる分だけ工数が増えます。最初から入れておくほうが安い項目です。
一方、回数・期間の差は、後から足しても値段はあまり変わりません。 修正回数やサポート月数は、必要になった時点で買い足せばいい性質のものです。
この見分けができると、真ん中を選ぶ判断が具体的になります。上のプランとの差が回数・期間だけなら、真ん中で問題ありません。差の中に「設計」「導線」「〜ページ追加」といった作業項目が入っているなら、それが今回の目的に必要かを個別に判断する必要があります。
先ほどの35万/55万/70万の例で言えば、55万と70万の差にある「公開後1ヶ月サポート」は期間の差です。しかし「情報設計」「マーケティング導線設計」は作業の差にあたります。
「上のプランを選ばない理由」を聞くと構造が見える
もうひとつ有効な確認方法があります。「なぜうちには真ん中を勧めるのか」と直接聞くことです。
まともな制作会社なら、上位プランを勧めない理由を説明できます。
弊社が美容サロン向けにLINE構築を提案したときは、A(設計図と手順書のみ・8.8万円)/B(構築一式・28万円)/C(構築+運用サポート・48万円)の3本を出したうえで、こちらから「Bが先です」と順番を明示しました。
理由は、そのサロンのLINEは登録の入口自体が塞がっている状態だったからです。入口を直さずに配信施策を増やしても効きません。だからCの内容(掘り起こし配信・来店後フォロー)は魅力的に見えても、順番として後になる。
このとき同時に、いちばん安いAを勧めない理由も正直に伝えました。 Aは設計図と文面をお渡しして、設定作業はご自身でやっていただくプランです。時間が取れる方なら成立しますが、日々施術のある一人サロンで管理画面に向かう時間はなかなか取れません。着手が止まる確率が高いプランを、安いからという理由で勧めるべきではないという判断です。
発注側から見た読み方はこうです。上と下を勧めない理由を、自社の状況に即して説明できる相手なら、その真ん中は信用してよい。 「一番人気です」「バランスが良いです」しか出てこないなら、その3プランは中身を検討して作られていない可能性があります。
確認項目②:公開後に自分でどこまで触れるのか
3プランの表には、たいてい書かれていない項目があります。納品後に、発注者自身が何をどこまで触れるのかです。
ここが曖昧なまま公開すると、「ちょっとした文字直しのたびに制作会社に連絡して待つ」という状態になります。月額の保守契約を結んでいなければ、その都度が有償対応になることもあります。
確認すべきは、この2点です。
- 管理画面のログイン情報を、納品時にもらえるか
- 自分で触ってよい範囲と、触ると壊れる範囲の線引きが示されるか
前者は当たり前のようでいて、納品物の一覧に明記されていないケースがあります。後者は、明示している制作会社のほうが少ない項目です。
弊社が名古屋のヘアサロンにサイトを納品したときは、納品案内をA4・4ページのPDFにまとめて、管理画面のURLとログイン情報を書面で開示しました。 そのうえで、ブログの投稿は自分で行える範囲、デザインやレイアウトに関わる部分は依頼が必要な範囲、と線を引いています。
このとき事前にやったことがひとつあります。渡す前に、そのIDとパスワードで実際にログインが通るか検証しました。 書類に書いた認証情報が古くて通らない、というのは起こりうる事故です。納品書類に載せる前に一度実際に試す——制作側の作業ですが、受け取る側も、もらったその場でログインを試しておくと安全です。
3プランの見積を受け取った段階では、こう聞けば足ります。「公開後、記事や写真の差し替えは自分でできますか。できるとしたら、どこまでですか」。
確認項目③:原稿と写真は誰が用意するのか
見積金額の差より、進行が止まる原因として大きいのがここです。
制作費に「原稿執筆」が含まれているかどうかは、プラン表からは読み取れないことが多い項目です。「12ページ相当」と書いてあっても、その12ページ分の文章を誰が書くのかは別問題です。
先ほどのコーポレートサイトの案件は、契約上「原稿は先方支給」でした。この前提が明確だったので、制作側は構造とデザインに集中できました。
逆に、素材が揃わないまま進むとどうなるか。弊社が受けた別の案件では、依頼時に添付されたHTMLが画像49点を参照していたのに、その画像フォルダ自体が存在しませんでした。参照先が全部404の状態です。この場合、画像一式が支給され、使用権と画質に問題がないことが見積の前提になります。ここが崩れると、金額も納期も動きます。
だから確認すべきは次の3点です。
- 文章は誰が書くのか(自社/制作会社/別途ライター費用)
- 写真は誰が用意するのか(自社支給/撮影費別途/ストック写真)
- 支給する素材は、いつまでに渡せばいいのか
3番目は特に効きます。素材の支給が遅れると納期が後ろにずれますが、その責任範囲を先に決めておかないと、遅れの原因をめぐって話がこじれます。「発注から◯週間以内に支給」という形で見積書か発注書に書いてもらうのが確実です。
確認項目④:どこからが「別途見積」になるのか
最後がいちばん揉める項目です。プラン内の作業と、別途見積になる作業の境界線をどこに引いているか。
ここが曖昧なまま公開まで進むと、運用開始後にこういう状態になります。「ここも直してほしい」「ついでにこれも」という要望が単発で届き、そのたびに制作会社が「これは範囲内か、範囲外か」を判断する。判断のたびに説明が必要になり、双方が消耗します。
要件定義と検収基準を決めないまま進んだ案件では、これが実際に起こります。運用開始後に思いつきベースの要望が単発で無限に飛んでくる状態——スコープクリープと呼ばれる現象です。
これは発注者が悪いわけではありません。サイトが動き始めれば、要望が出てくるのは自然なことです。問題は、それを受ける枠が最初に用意されていないことにあります。
弊社では、この状態を次の3点セットで整理する方針をとっています。発注側として見積を受け取る段階でも、同じ枠組みで確認できます。
- 区切りを決める:どこまでが当初依頼分で、いつ検収するのか
- 要望を一覧で出す枠を作る:思いついたときに単発で送るのではなく、棚卸ししてまとめて出す
- 以降の扱いを決める:軽微な修正は月次の保守枠で優先度順、仕様変更は別途見積
見積を受け取った時点で「公開後の修正は、どこまでがプラン内で、どこからが別料金になりますか」と聞いておく。それだけで、公開後の関係がかなり穏やかになります。
3プランのうち「松」が現実的でないときの見分け方
もうひとつ、判断材料として押さえておくといい話があります。
いちばん上のプランが、明らかに自社の予算感と桁が違う場合、その3プランは自社向けに作られていない可能性があります。
具体例を出します。ある会員組織の統合サイトで、仕様書の必須項目を満たすだけで技術的に32〜42人日かかる案件がありました。工数から積み上げると、梅145万円/竹165万円/松195万円〜という3プランになります。値付けとして妥当な数字です。
ところが、この案件で先方が想定していた予算は10万円程度でした。
桁が合わない見積は、どのプランを選んでも成立しません。 梅を選んでも145万円なので、予算10万円には届かない。上を削って下に寄せても、仕様書の必須項目を落とすことになるので、そもそも成立していない案件だったということです。
だから発注する側は、3プランが届いた時点で、いちばん下のプランが自社の予算に収まっているかを最初に見てください。 収まっていなければ、真ん中や上を検討する意味はありません。その時点で「予算はこの範囲です」と伝えて、その範囲で何ができるかを組み直してもらうほうが早い。
これは値切りではありません。予算を先に開示すると足元を見られる、と考えて隠す方がいますが、実際には逆です。 予算が分からないまま作られた見積は、当たるか外れるかの博打になります。外れれば、双方の時間が丸ごと無駄になります。
金額が同じでも中身が違うことがある
補足として、もうひとつ。同じ「LINE構築30万円」でも、含まれる作業はまったく違います。
たとえばLINE構築の初期費用は、市場では20万円から250万円まで開きがあります。構築作業のみで40〜100万円、正規代理店では40万円以上というのが公開されている相場です。
この幅は、業者の良し悪しではなく作業範囲の違いから生まれます。アカウント開設だけなのか、タグ設計や流入経路の分岐まで含むのか、配信文面の執筆まで入るのか。同じ「構築」という言葉でも、指している中身が違います。
だから比較すべきは金額ではなく、同じ作業項目が両方の見積に入っているかです。他社と比べるときは、片方にしかない項目を洗い出してから金額を並べてください。項目が揃っていない見積を金額だけで比べると、安いほうを選んで、あとから足りない分を追加費用で買うことになります。
まとめ:真ん中を選ぶ前の4つの質問
3プランの見積が届いたら、返信の前にこの4つを聞いてください。
- 「上のプランとの差は、作業が増えるものですか。回数や期間が増えるものですか」
作業の差なら最初から入れる。回数・期間の差なら後から買える
- 「公開後、自分でどこまで触れますか。管理画面の情報は納品時にもらえますか」
触れる範囲が分からないまま公開すると、小さな修正のたびに止まる
- 「原稿と写真は、どちらが用意しますか。いつまでに渡せばいいですか」
金額より納期が動く要因になる
- 「公開後の修正は、どこからが別料金ですか」
運用開始後に要望が出るのは自然。受ける枠を先に決めておく
そして、いちばん下のプランが予算に収まっているかを最初に確認する。収まっていなければ、予算を伝えて組み直してもらう。
3プランは、選ばせるための仕掛けではなく、「どこまでやるか」を一緒に決めるための道具です。 道具として使えば、真ん中を選んだあとに後悔することはほとんどなくなります。
ホームページやLINE構築の見積で判断に迷っている方は、お気軽にご相談ください。プラン表の読み方や、他社見積との比較の仕方についてもお答えしています。