LINEリッチメニューの作り方|画像サイズ・タップ領域・適用までの4工程と、増やす前に決めること
LINEリッチメニューの作り方|画像サイズ・タップ領域・適用までの4工程と、増やす前に決めること
「LINEリッチメニューの作り方」を調べると、まず出てくるのは画像サイズの話です。ただ、実際に詰まるのは画像ではありません。画像を作っても、それだけではお客さまのLINEに出てこないからです。
リッチメニューの作成は4つの工程に分かれています。
| 工程 | やること | 飛ばすとどうなるか |
|---|---|---|
| ① 画像を作る | 規定サイズ・容量に収めた1枚の画像を用意する | アップロードで弾かれる |
| ② 領域を割る | 画像のどこを押せる場所にするか決める | 見た目のボタンが反応しない |
| ③ アクションを決める | 押されたときに何を起こすか設定する | タップしても無反応になる |
| ④ 適用する | 誰にいつ表示するかを設定して公開する | 作ったのに誰にも出ない |
④が抜けた状態が「作ったのに出ない」の正体です。作成と適用は別工程、これがリッチメニューの最初の要点になります。
この記事では4工程それぞれの実務要件と、枚数を増やす前に決めておくべき設計を整理します。graciautoは名古屋でLINE公式アカウント構築を手掛けており、有効友だち約51万人のサロン企業アカウントで状態別15枚の出し分けを構築した実装や、21店舗規模のフランチャイズへの横展開で実際に使っている判断基準です。
工程①:画像を用意する|サイズと容量が最初の関門
リッチメニューの画像には決まった仕様があります。
- 大サイズ:2500×1686ピクセル(縦に厚い。6分割・4分割などで情報量を出せる)
- 小サイズ:2500×843ピクセル(帯状。トーク画面を広く使いたいとき)
- 形式:JPGまたはPNG/容量1MB以下
幅2500ピクセルを基準に作ります。実務でつまずくのはほぼ容量1MB以下の条件です。デザインツールから書き出した原本は想像よりはるかに大きく、実際の案件では支給画像が10417×7025ピクセル・5〜7MBでした。そのままではアップロードできません。
macOSであれば、標準搭載のsipsコマンドで変換できます。
sips -Z 2500 --setProperty format jpeg --setProperty formatOptions 70 元画像.png --out 変換後.jpg
-Z 2500で長辺を2500ピクセルに、formatOptionsで圧縮率を指定します。数値を下げるほど軽くなるので、1MBを切るまで調整します。ここは手作業でも数分で終わる工程です。
押さえておきたいのは、あとから差し替える前提で素材を管理することです。状態別に出し分ける設計にすると枚数はすぐ増えます(前述の案件では15枚になりました)。都度1枚ずつ変換しているとサイズ違いや容量オーバーが混ざるため、変換済みのフォルダを1つだけ正とし、そこからしか上げない運用にします。
なお、ボタンの区切り線は画像に描く必要があります。次工程のタップ領域は目に見えないため、画像側に線やアイコンが無いと、どこを押せばいいか分かりません。
工程②:タップ領域を割る|テンプレートか、座標指定か
画像を上げたら、押せる場所(タップ領域)を決めます。方法は2つです。
テンプレートから選ぶ
6分割・4分割・3分割・2分割・1面など、既定の分割パターンを選ぶ方法です。デザインを分割線に合わせて作れば、こちらで十分です。自社アカウントは6分割の2500×843で運用しています。
座標で指定する
テンプレートに無い形にしたいときは、左上を原点として開始位置のX・Y、幅、高さを数値で入力します。例えばメニュー上部に細い帯を置いてタブのように見せる場合、実際の設計ではX=0/Y=0/幅1100/高さ220の帯を左半分に置き、押すと別のメニューへ切り替わるようにしました。右半分にも同じ高さの帯を置けば、タブが2つ並んで見えます。
重要なのは、タップ領域は画像とは独立して保存されている点です。画像を新デザインに差し替えても領域の座標は前のまま残ります。デザイン変更後に「ボタンの位置と反応する場所がずれる」原因はほぼこれです。
画像を差し替えたら、必ずタップ領域も一緒に見直す。セットの作業として手順書に書いておくと防げます。
工程③:アクションを決める|4つの型を使い分ける
各領域を押したときの動きを決めます。よく使うのは次の4つです。
| アクション | 用途 | 向いている場面 |
|---|---|---|
| URLを開く | 予約サイト・HP・フォームへ飛ばす | 予約、求人応募、資料請求 |
| テキストを送信 | お客さまの発言として文字を送る | キーワード応答と組み合わせる |
| メニューを切り替える | 別のリッチメニューを表示する | タブ、階層メニュー |
| フォーム・アンケートを開く | 入力を受け取る | 問い合わせ、来店前ヒアリング |
見落とされがちなのが「テキストを送信」の使い道です。ボタンを押すとお客さま自身が言葉を送った扱いになり、それに反応して自動返信を返せます。実際の設計では、回数券メニューの下帯に「有効期限はこちら」ボタンを置き、タップすると期限の日付を差し込んだメッセージが届くようにしました。その人だけの情報をその場で返す導線が、画面遷移なしで作れます。
URLの注意も1つ。予約URLや友だち追加URLは、取得のたびに値が変わる仕様のものがあります(短縮URLは特にそうです)。一度取った値を正として管理表に控えないと、店舗ごとにバラバラのURLが混ざります。
工程④:適用する|「作る」と「出す」は違う
ここまでで「作成済み」にはなりましたが、まだ誰のLINEにも表示されていません。適用の設定で決めるのは主に3つです。
- 表示開始日・終了日(キャンペーン用なら期間を切る)
- デフォルト表示にするか(全員に出す1枚を決める)
- 誰に出すか(特定の条件に当てはまる人だけに出す)
作業が完了したら、適用されている人数を必ず画面で確認します。テスト用のメニューが0人のまま放置されていないか、逆に本番のメニューを触っていないかを、一目で検知できる指標だからです。
検証手順は次の順序に固定します。
- 適用0人の状態でテスト用のコピーを作る
- 自分(または社内のテスト用アカウント)にだけ適用する
- 実機でタップし、想定どおりの動きを確認する
- 問題なければ本番のメニューに反映する
友だち数が多いアカウントほど、この順序の価値が上がります。51万人規模のアカウントでも、表示中の本番メニューには触れず、0人のコピーで組み立てて実機確認を通してから切り替えました。
枚数を増やす前に決めておく3つのこと
1枚なら4工程で完成です。ですが「常連さんには別のメニューを出したい」となった瞬間に設計の話が入ります。枚数が増えてから設計し直すのは高くつくため、先に決めるべき3点を挙げます。
① 表示を決める情報は「1つ」に絞る
複数のメニューを出し分けるとき、切り替え条件を複数の項目にまたがって書くと破綻します。理由は2つです。
1つは、条件が同時に成立すると最後に実行された切り替えが勝つこと。「Aなら切り替え」「Bなら切り替え」を並べると、両方に当てはまる人には両方が順に実行され、最後のBが表示されます。
もう1つは数値項目の初期値です。友だち情報の数値項目は、何も設定していない人には0が入っている扱いになります。「残り回数が0の人にはこのメニュー」と書くと、そもそも購入していない人にまで成立します。
正しい設計はこうです。
- 「いまどの状態か」を表す項目を1つ作る(例:現在の券種、会員ランク)
- 出し分けはその1項目の値だけで判定する(値が違えば同時に成立しない=排他になる)
- 数値で判定したい場合は、「保有しているか」を示す別項目をAND条件で足す(例:購入回数が0より大きい、かつ残り回数が3)
実装ではこの形に落ち着きました。券種3種×残り回数の組み合わせで14通りの切り替えを設定していますが、条件はすべて「現在の券種=◯◯ かつ 残り回数=N」という1本の型で書いています。
② どの条件にも当てはまらない人の受け皿を作る
条件を書き切ったつもりでも、必ず「どれにも当てはまらない人」が出ます。新規の友だち、購入前の人、期限切れの人などです。受け皿を1枚用意するのが定石で、実装では「現在の券種が未登録の人」に購入案内のメニューとメッセージを出しました。無いと、その人たちには何も表示されないか直前のメニューが残り続けます。
③ 命名規則を先に決める
枚数が2桁になると、管理画面から目的の1枚を探すこと自体が作業になります。有効なのは「用途|対象|状態」の3階層で名前を統一することです。実装では回数券|スタートアップ|残3の形式に全点をそろえました。並び順が意味のある順序になり、差し替え対象を名前だけで特定できます。
タグや情報欄の名前は、多くのツールで内部IDが保持されたまま表示名だけ変更できます。後から改名しても参照は壊れません。とはいえ14枚を作り終えてから全部改名するより、最初に規則を決めるほうが安く済みます。
切り替えを自動化するときの落とし穴
出し分けをアクションで自動化する段階では、もう1つ知っておくべき仕様があります。条件は「そのアクションが実行される瞬間の値」で評価されることです。
たとえば「残り回数を1減らす」「残り回数が2ならメニューBに切り替える」を並べた場合、後者は減算後の値を見ます。処理の順番を入れ替えると結果が変わります。設計指針は2つです。
- 数値を書き換える処理と、その数値で判定する処理の順番を意図して決める
- 更新前の値で判定したいなら、判定を先に済ませて印(タグ)を付けておく
後者が必要になる場面は具体的です。残り回数0の人がもう一度読み取り操作をしたとき、「最後の1回を使い終えた直後(0)」と「使い切ったあとの空振り(0)」は数値だけでは区別できません。そこで減算の前に「有効な操作だった」印のタグを付け、以降の分岐はそのタグで判定する構成にします(最後にタグを外して後始末)。使い切ったあとの操作では減算が走らず案内だけが返るため、残り回数がマイナスに進む状態を設計段階で防げます。
多店舗・複数アカウントへ展開するとき
同じ業態の店舗を複数運営している場合、1店舗ずつ作り直す必要はありません。リッチメニューはコピーできます。 ツールによっては複製用のURLが用意されており、既存メニューのIDを指定すれば設定ごと複製されます。フランチャイズの案件では、1店舗目を型として作り込み、以降はコピー+差し替えで展開しました。決めておくことは3つです。
- 差し替える項目を先に一覧化する(予約URL、求人ページ、店舗HP、電話番号など)。展開時点で値が未確定の項目は「後日差し替え」として明示的に残す
- コピー元を1つに固定する。改善は型に入れてから配る。各店で個別に直し始めると差分が追えなくなります
- コピー後は「現在の表示」に反映されているかまで確認する。複製された状態と、実際に表示されている状態は別です
店舗ごとの違いをURLと電話番号だけに閉じ込めておけば、デザイン変更も1枚作って配るだけで済みます。
想定される失敗と、設計段階での予防
作り方そのものより、あとから起きやすい問題を先回りします。
| 起こりうること | 原因 | 予防 |
|---|---|---|
| 画像がアップロードできない | サイズまたは容量オーバー | 素材フォルダの時点で2500×1686・1MB以下に統一する |
| 作ったのに表示されない | 適用の工程が未実施 | 保存後、適用人数を必ず画面で確認する |
| 見た目のボタンが反応しない | タップ領域と画像のずれ | 画像差し替えとタップ領域の見直しをセット作業にする |
| 意図しないメニューが出る | 条件の重複(後勝ち) | 表示を決める情報を1項目に絞り、排他にする |
| 未購入・未登録の人に会員用メニューが出る | 数値項目の初期値0で条件が成立 | 「保有しているか」の項目をAND条件で足す |
| 配信を止めた相手にメニューが残る | 配信停止と表示停止は別の設定 | 停止処理に「リッチメニューの表示停止」を明示的に含める |
| 作れる枚数の上限に当たる | ツール・プランごとに上限が異なる | 出し分けを設計する前に、作成上限と同時表示の条件を確認する |
最後の1点は補足します。「何枚作れるか」と「条件で出し分けられるか」は別の話です。標準機能でも複数枚の作成と期間指定の切り替えはできますが、状態に応じた自動の出し分けにはツール側の機能(プランによる)が必要になることが多く、設計前の確認が要ります。
よくある質問
Q. 何分割にするのが良いですか?
最初は分割を少なくすることを勧めます。押される導線は実際には2〜3本に集中し、枠を埋めるために項目を足すと本命の予約ボタンが埋もれます。主要導線を大きく置き、反応を見てから増やす順序が安全です。
Q. 画像は自分で作れますか?
作れます。2500×1686または2500×843のキャンバスに、分割線とアイコン・文字を配置するだけです。写真を多用すると1MBを超えやすいので、背景は単色か薄い階調にすると軽く収まります。
Q. メニューを変更したら、既存の友だちにも反映されますか?
表示中のメニューを更新すれば対象者の画面に反映されます。ただし切り替えアクションで個別に別メニューが適用されている人は、そちらが優先されます。全員に反映したいときは適用条件まで確認してください。
Q. テストはどうやりますか?
0人適用のコピーを作り、自分の端末にだけ適用して実機でタップします。管理画面の見た目だけで判断すると、タップ領域のずれや切り替えの取りこぼしを見逃します。
まとめ
リッチメニューの作り方は、①画像を規定サイズ・1MB以下で作る ②タップ領域を割る ③アクションを決める ④誰に出すかを設定して適用する、の4工程です。作成と適用は別工程である点が、最初にして最大の要点になります。
1枚で終わらせない予定があるなら、着手前に3つ決めてください。表示を決める情報を1項目に絞る/どの条件にも当てはまらない人の受け皿を用意する/命名規則を先に決める。この3点の有無で、枚数が増えたときの運用コストが変わります。
1枚のメニューを作る作業自体は難しくありません。難しいのは、お客さまの状態が変わっても正しいメニューへ切り替わり続ける仕組みを、崩れない形で組むことです。