LINEのブロック率を下げる配信設計|セグメントを切るだけで解除は減る
LINEのブロック率を下げる配信設計|セグメントを切るだけで解除は減る
LINE公式アカウントのブロック率を下げたい。そのための打ち手として最も効くのは、配信文の書き方を磨くことでも、配信回数をただ減らすことでもありません。「関係ない人に送らない」仕組み、つまりセグメント配信を設計に組み込むことです。
理由ははっきりしています。ブロックは1通の出来栄えで起きるのではなく、「自分に関係ない配信が届き続けること」への累積反応だからです。文面をどれだけ磨いても、新規向けの案内が常連に、予約済みの人に営業案内が届いていれば、その人にとっては雑音です。逆に、届く配信を「その人に関係あるものだけ」に絞れば、ブロックの引き金そのものが減ります。文面の改善が効くのはその後です。
graciautoは名古屋でLINE公式アカウントの構築・運用を請け負っています。友だち数百人の物販アカウントから、友だち51万人を超えるサロン系企業のアカウントまで構築に入ってきました。この記事では、その現場でやっているセグメントの「切り方の設計」と「送り続け事故を防ぐ実装」を、実例ベースで解説します。ブロックの原因を広く整理した記事は別記事にあるので、ここでは「セグメント」の一点に絞ります。
なぜ「セグメントを切るだけ」で解除が減るのか
受け手1人の視点で計算すると分かりやすいです。月8回の全員配信をしているアカウントなら、友だち全員に月8通届きます。このうちその人に関係ある配信が2通なら、残り6通は「関係ない通知」です。ブロックの理由としてよく挙がるのは「通知が多い」ですが、現場感覚で言えば、多いと感じさせているのは総配信数ではなく「自分に関係ない配信の数」です。
セグメントを切ると、アカウント全体の配信本数は同じでも、1人が受け取る通数が減ります。月8本の配信を「新規向け3本・既存向け3本・全員向け2本」に分ければ、1人に届くのは月5通。しかも届いたものは自分に関係がある。配信側は何も我慢していないのに、受け手の体感頻度と雑音が同時に下がる。これが「セグメントを切るだけで解除は減る」の中身です。
なお、配信頻度そのものの決め方は配信頻度の記事で書いたので、この記事は「誰に送るか」の設計に集中します。
切る軸は「属性」ではなく「状態」から決める
セグメント設計でよくあるつまずきが、性別・年代といった属性から切り始めることです。属性で分けても、送る内容が変わらなければ意味がありません。30代女性と40代女性に同じキャンペーン案内を送るなら、それは一斉配信と同じです。
先に切るべきは「状態」です。つまり、その人がいまどの段階にいるか。
- 新規か、既存か(友だち追加から30日以内か)
- 予約済みか、未予約か
- 利用中か、使い切ったか(回数券・コースの残り)
- 最終来店から時間が空いているか
状態で切ると、送る内容が自然に変わります。新規には初回の流れと不安解消、予約済みにはリマインド、離脱しかけには再来のきっかけ。「この状態の人にこの内容」が決まるので、関係ない配信が構造的に発生しなくなります。管理画面での具体的な操作手順はセグメント配信のやり方の記事に譲り、ここから先は設計の実例を見せます。
実例1:友だち51万人のアカウントは「切るためのデータ」を自動で貯めている
友だち51万人を超えるサロン系企業のアカウントで、LINE構築ツール(Lステップ)を使ったデジタル回数券の仕組みを構築したときの設計です。
このアカウントには、店舗ごとに設置したQRコードからの友だち追加を記録する流入経路が342本ありました。友だちがどの店舗のQRを読んで追加したかが、追加の瞬間に自動で記録される。つまり「どの店の客か」というセグメントの元データが、誰も手を動かさずに貯まり続ける設計が最初から入っているということです。
回数券の仕組みも同じ思想で設計しました。購入時にQRを読むと、友だち情報欄に「残回数・購入日・有効期限」が自動で入り、店頭で消化QRを読むたびに残回数が1ずつ減る。残回数に応じてリッチメニューの表示も自動で切り替わります。この設計なら「残回数が残っている人にだけ」「有効期限が近い人にだけ」という絞り込みが、いつでも正確にできます。
ここで強調したいのは、規模が大きいほど「送らない設計」が生命線になるということです。51万人のアカウントでは、1回の全員配信のミスが51万人に届きます。構築作業中、一斉配信系の操作は一切禁止にして、テスト用のタグと自分の端末だけで検証してから本番に反映する手順を徹底しました。数字の規模は違っても、考え方は数百人のアカウントでも同じです。セグメント配信は「配信時に頑張って絞る」ものではなく、「絞るためのデータが自動で貯まる導線を先に作る」ものです。手動でタグを付ける運用は、経験上まず続きません。
実例2:目的を果たした人に営業配信を送り続けない「二重ガード」
もうひとつ、教育系のクライアントで構築したウェビナー予約リマインドの例です。
参加者が時間帯を予約するとタグが付き、開始までリマインドが順に届き、開始5分前に視聴URLが届く仕組みです。問題はキャンセルした人への扱いでした。私たちが使った配信ツールでは、タグを外すだけでは、すでに走り出したステップ配信は止まらない仕様でした。つまりキャンセル処理を「タグ解除」だけで実装すると、キャンセルした人に視聴URL付きのリマインドが届き続けます。受け手からすれば「やめたのに送ってくる」わけで、ブロックに直結する典型的な事故です。
正しい設計は二重ガードです。
- キャンセル操作の瞬間に、その人の走行中の配信を個別に停止する
- 万一の停止漏れに備えて、配信側に「予約タグを持っている人にしか送らない」という絞り込み条件を入れておく
この2つを組み込んだうえで、キャンセル後に開始5分前の配信対象者数が0人になっていることをシステム上で確認してから稼働させました。
これはウェビナーに限らない話です。予約済みの人に「予約はお済みですか」と送る、購入済みの人に「ご購入はこちら」と送る。目的を果たした人への営業配信の送り続けは、どのアカウントでも起こりうるブロックの温床です。予防策はシンプルで、ステップ配信・シナリオ配信には「この状態の人にしか送らない」という絞り込み条件を必ず入れておくこと。配信を止める処理が仮に漏れても、絞り込みが最後の防波堤になります。ステップ配信の事故パターンは別記事で詳しく書いています。
最小構成で始める3ステップ
51万人の実例を出しましたが、始め方は小さくていい。むしろ小さく始めるのが正解です。
- ステップ1:まず2分類だけ切る。店舗なら「来店済み/未来店」、予約ビジネスなら「予約済み/未予約」。最初から5分類も10分類も作ると、タグが乱立して配信のたびに迷います
- ステップ2:分類が自動で付く導線を作る。友だち追加の経路(店頭QRとWebで経路を分ける)、リッチメニューのボタンタップ、予約完了。人の手を挟まずデータが貯まる形にします
- ステップ3:配信のたびに絞り込み条件を入れて送る。そして配信ごとのブロック増加数を記録する。見るべき数字の詳細はこちらの記事にまとめています
副次効果もあります。LINE公式アカウントの料金は配信人数×配信回数の通数課金なので、送る相手を絞ると通数が減ります。セグメント配信はブロック対策であると同時に、プランを上げずに必要な配信を増やす手段でもあります。
起こりやすいつまずきと予防策
実装段階で実際に起こりやすいものを、予防策とセットで挙げます。
- 条件の評価タイミングを誤解する:私たちが構築で使ったLステップでは、条件は「そのアクションが実行される瞬間の値」で評価されます。たとえば残回数を減らす処理の後ろに置いた条件は「減らした後の値」を見ます。値を変更する処理と、変更前の値で判定したい条件が混在する場合は、判定用の一時タグを処理の先頭で付けておく設計にすると、使い切った人への誤処理を未然に防げます
- タグの乱立:付ける時は簡単でも、半年後に「このタグ何だっけ」となるのが定番です。「用途|対象|項目」のような命名規則を最初に決めてから作り始めてください
- 手動でのタグ付け運用:スタッフが付け忘れた瞬間からデータが信用できなくなり、絞り込み自体が機能しなくなります。自動で付く導線が作れない分類は、思い切って切らないほうが安全です
よくある質問
Q. 友だちがまだ数百人です。それでもセグメントは必要ですか?
配信の絞り込み自体は、全員に関係ある内容を送れているうちは急ぎません。ただし「データが貯まる導線」だけは今日から作っておくべきです。友だち追加の経路分けやボタンタップの記録は、後から遡って取れません。数千人になってから切ろうとしても、切るためのデータがない状態になります。
Q. 何で切ればいいか分かりません。最初の1軸は?
来店・購入・予約のような「本命の行動をしたか、まだか」の1軸です。この1軸だけで「済んだ人に営業を送り続ける」事故が消えるので、ブロック対策としての効果が最も大きい。属性で細かく切るのは、この1軸が回ってからで十分です。
まとめ:ブロック対策は文面より先に「送らない設計」
- ブロックは「関係ない配信が届き続けること」への累積反応。セグメントを切ると、1人が受け取る雑音が構造的に減る
- 切る軸は属性より状態。「予約済み/未予約」「利用中/使い切り」のように、送る内容が変わる軸で切る
- セグメントの本体は配信時の操作ではなく、データが自動で貯まる導線の設計。手動タグ付けは破綻する
- ステップ配信には「この状態の人にしか送らない」絞り込みを必ず入れる。停止処理との二重ガードで送り続け事故を防ぐ
graciautoでは、友だち数百人から51万人超まで、規模に合わせたLINE公式アカウントの構築・セグメント設計を請け負っています。「配信のたびにブロックが増える」「タグをどう設計すればいいか分からない」という段階のご相談も歓迎です。お問い合わせはgraciautoのサイトからどうぞ。