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実績の画面をSNSに載せるときの匿名化|市名だけ伏せても駅名・地名で店は分かる。店名は丸ごと置き換え、文字認識で実名の残りを機械的に照合する手順


実績の画面をSNSに載せるときの匿名化|市名だけ伏せても駅名・地名で店は分かる。店名は丸ごと置き換え、文字認識で実名の残りを機械的に照合する手順

実績の画面をSNSに載せるときの匿名化|市名だけ伏せても駅名・地名で店は分かる。店名は丸ごと置き換え、文字認識で実名の残りを機械的に照合する手順

自社で作った予約通知の仕組みや、ブログの投稿管理画面、発注フォームなど、「実際に動いている画面」はそれ自体が強い実績になります。文章だけで「こういうツールを作りました」と書いても、読む側にはほとんど伝わりません。画面を1枚添えるだけで、何ができるのかが一目で分かります。

ただし、実際に動いている画面には、取引先の店名・記事タイトル・電話番号といった、特定につながる文字がそのまま写っています。 ここの伏せ方を間違えると、実績を見せたつもりが、取引先の情報を出してしまうことになります。

先に結論を書きます。

  • 店名は一部だけ伏せない。丸ごと「A店」「B店」のような記号に置き換える。 「〇〇市」だけ隠しても、残った駅名・地名で店は特定できる
  • 画面に写る記事タイトルや商品名も、汎用の仮の文言に差し替える。 実在のタイトルは、検索すればそのまま取引先のサイトに行き着く
  • 確認は目視だけにしない。 画像から文字を読み取る文字認識(OCR)で文字を抜き出し、実店舗名・地名・ブランド名・実在の記事タイトル・電話番号などの「出してはいけない文字」のリストと機械的に照合する。OCRと人の目視の両方で合格したものだけを公開する
  • そもそも撮らない画面を先に決める。 売上の数字が並ぶ画面や、開くだけで相手側に記録が残る画面は、匿名化以前に素材の候補から外す

以下、なぜ部分的な伏せ方では足りないのか、実際に画面素材を整えたときの確認結果、具体的な手順の順に説明します。

なぜ「市名だけ伏せる」では特定できてしまうのか

店名は「ブランド名+地域+駅名・通り名」でできている

多店舗展開している店の名前には、「ブランド名+市区町村名+駅名や通り名+店」という形がよくあります。同じ市に複数の店がある場合、店を区別しているのは最後の「駅名・通り名」の部分です。

ここで「〇〇市」の部分だけを伏せて「〇〇市△△駅前店」のように残すと、伏せたのは一番ありふれた部分で、残したのは一番固有の部分になります。同じ駅名・通り名を持つ場所は限られるため、「△△駅前店」で検索するだけで候補はかなり絞り込めます。そこに業種やブランドの雰囲気が分かる画面が加われば、1店に特定できてしまうこともあります。

つまり、店名の一部を伏せる方法は、隠す場所を選んだ時点で特定のしやすさが決まってしまいます。安全側に倒すなら、どこも残さず丸ごと置き換えるのが基本です。

店名以外の文字からも辿れる

画面の中で特定につながるのは、店名だけではありません。

  • 記事タイトル:ブログの管理画面なら、公開中の記事タイトルが一覧で並びます。タイトルを1つ検索すれば、その記事が載っている取引先のサイトが出てきます
  • 件数・店舗数:画面に出る店舗数のような数字は、その会社が自社サイトで公表している店舗数と合わせると、どのブランドかを絞る材料になります
  • 発信者側の情報:投稿文、プロフィール、リンク先の自社サイトに「〇〇店舗のブランドを支援」と書いてあれば、画面をどれだけ伏せても組み合わせで分かります

最後の点は見落とされがちです。記事の中で「同一ブランドの複数店舗」と伏せて書いても、同じドメインのサービス紹介ページが具体的な店舗数を名乗っていて、個店の数字を並べたことで地図アプリから店が特定できてしまう――という形の漏れは実際に起こりえます。匿名化は、画像単体ではなく「その画像が置かれる場所全体」で判断する必要があります。

実例:管理画面9枚を公開用に整えたときの確認結果

実名で運用しているSNSアカウントで、自社で作った業務ツールの話を発信する際、「ツールの機能や設定の話には、必ず画面のスクリーンショットか動画を添える」というルールを決めました。文章だけの投稿では、何の話なのかが読み手にほとんど伝わらなかったためです。

素材にしたのは、複数店舗の美容サロンで使っている業務ツールの画面9枚です。

  • ブログの投稿管理(各店のブログの更新状況・下書きの確認画面など)
  • 予約のリマインド通知(データの取り込み画面・送信対象の一覧など)
  • 店舗からの発注フォーム
  • 店舗オーナー向けの書類共有の管理画面

どれも実データが表示される画面なので、店名・記事タイトル・人名が写ります。そこで次の手順で整えました。

伏せ字の残りは、目視1回では見落としやすい

素材の確認は、作業した人とは別の人がもう一度見る手順にしています。今回もこの確認で、ブログ投稿管理の画面2枚に「〇〇市」だけを伏せた店名が3つ残っているのを、公開前に見つけて外しました。 市名を伏せていても、駅名や地名の部分は読める状態でした。公開中の記事タイトルが写っていたのも、同じ2枚です。

伏せ字の入った行は、見る側が「この行は処理済み」と受け取りやすく、残った部分まで読まずに通してしまうおそれがあります。伏せ字があること自体が、見落としの原因になりうるため、目視では伏せ字の行こそ最後まで読むようにします。

見つけた2枚は、次の方法で作り直しました。

  • 店名は「〇〇市」付きの形も含めて、すべて「A店」〜「Z店」の記号に置き換え
  • 記事タイトルは「乾燥する時期の髪のお手入れ」「ご予約から施術までの流れ」のような、どの店のブログにもありそうな汎用の仮タイトルに差し替え
  • 置き換えた状態で撮り直し

そのうえで、画像から文字を読み取って「出してはいけない文字」と照合する検査を作り、9枚すべてにかけました。結果は9枚中9枚が合格。さらに人の目視でも合格を確認し、ここで初めて公開用の素材として登録しています。以後、OCRと目視の両方で合格した素材だけを使う運用にしています。

撮らない画面も決めた

整える過程で、「匿名化すれば使える画面」と「そもそも撮らない画面」を分けました。撮らないと決めたのは次の4種類です。

  • 売上のダッシュボード:数字そのものが取引先の経営情報。店名を伏せても出すべきではない
  • オーナー向けの個別リンクで開く画面:開くと「最終閲覧日時」が記録される仕組みのため、撮影のために開くだけで相手側の記録が変わる
  • LINE連携の紐付け・設定画面:連携の設定値や登録者の情報が写る
  • 案内の送信操作が必要な画面:撮るためには実際に誰かへ送信しなければならない

こうした画面を外した結果、「画面素材が無いので投稿できない題材」が10件残りました。それでも構いません。素材が無い題材は、無理に出さずに保留するのが正しい判断です。

匿名化の手順

ここからは、実際の進め方を順番に整理します。

手順1:撮らない画面を先に決める

匿名化の作業に入る前に、次に当てはまる画面を候補から外します。

  1. 売上・単価・顧客数など、取引先の経営数字が主役の画面
  2. 開く・操作するだけで、相手側に記録や通知が残る画面(閲覧履歴が付く、送信が発生するなど)
  3. API連携・トークン・パスワードなど設定値が見える画面
  4. お客様の氏名・電話番号・予約内容など、個人情報が主役の画面

ここで外しておけば、後の工程で「伏せ忘れ」が起きても致命傷になりません。

手順2:表示データを差し替えてから撮る

ぼかしやモザイクを後からかけるより、表示される文字そのものを差し替えてから撮影するほうが確実です。

  • ぼかしが弱いと読めてしまう。強くすると画面の何を見せたいのかが分からなくなる
  • 隠した部分の文字数や形、前後の行から推測できることがある
  • 記号に置き換えた画面は見た目が自然で、「何を見せたい画面なのか」が伝わりやすい

差し替えの方法は、デモ用のダミーデータを入れた環境で撮る、撮影用に表示名だけを書き換える、などいくつかあります。どの方法でも、撮った画像の上で加工するのではなく、撮る前に表示を変えることが要点です。

置き換えのルールは次のとおりです。

写るもの 部分的に伏せてよいか 置き換え方
店名・会社名 不可 「A店」「B社」など記号に丸ごと置き換え。「〇〇市」付きの表記も対象
記事タイトル・商品名 不可 どの店にもありそうな汎用の仮タイトルに差し替え
住所・駅名・地名 不可 削除するか、記号に置き換え
電話番号・メール・URL 不可 削除するか、架空と分かる形にする
人名・顔写真 不可 「スタッフA」など記号、顔は写さない
件数・店舗数 条件付き 公表値と一致して特定につながるなら外す・丸める

1枚の画像の中では、同じ店には同じ記号を使います。記号がばらばらだと、画面の見え方が実際の動きとずれてしまうためです。

手順3:文字認識(OCR)で「出してはいけない文字」と照合する

目視確認の前に、機械的な検査を挟みます。画像から文字を抜き出して、あらかじめ作っておいた禁止語のリストと照合するだけの仕組みです。OCRの手段は、パソコンに標準で入っている文字認識機能でも、無料の文字認識ソフトでも構いません。

禁止語のリストには、少なくとも次の5種類を入れます。

  1. 実店舗名(ブランド名を除いた、地名・駅名・通り名の部分も単独で登録する)
  2. ブランド名・会社名
  3. 公開中の記事タイトル(全文一致ではなく、連続した一部の一致で拾う。今回は10文字連続で一致したら不合格にした)
  4. 電話番号・メールアドレス(形のパターンで拾う)
  5. 取引先の担当者名など、その案件固有の固有名詞

ポイントは1です。店名を「ブランド名+地名+駅名+店」のフルネームで登録すると、「〇〇市」の部分が伏せ字になった時点で一致しなくなり、検査をすり抜けます。特定につながる部分ごとにばらして登録することで、部分的に伏せた店名も拾いやすくなります。

3も同じ考え方です。画面の幅によっては長いタイトルが途中で切れて表示されるため、全文一致では漏れます。連続した一部の一致で拾う設計にします。

検査で引っかかったら、その画像は不合格です。誤検知(実際には問題ない文字が引っかかる)が出ても構いません。迷ったら外す側に倒すのが、この検査の役割です。

手順4:人の目視を、別の人が等倍で行う

OCRにも限界があります。小さな文字、背景と同化した文字、斜めや装飾のある文字は読み取れないことがあり、日本語では1文字だけ別の字に読み違えて、禁止語と一致しなくなることもあります。そのため、OCRの合格は「目視に進んでよい」という意味にとどめ、最後は人が見ます。

  • 作業した本人ではない人が見る。作った本人は「伏せたはず」という思い込みで見てしまう
  • 縮小表示ではなく、等倍で見る。一覧のサムネイルでは小さな文字は読めない(写真の写り込み確認の考え方は店舗写真は縮小表示で判断しないで詳しく書いています)
  • 伏せ字の行こそ、最後まで読む。「〇〇」が入っている行は処理済みに見えるが、残った部分に固有の情報がある

「担当者の目視で合格」という報告だけで公開しないことが、この手順の要です。

手順5:投稿全体で特定できないかを見る

最後に、画像単体ではなく、投稿全体で確認します。

  • 投稿文に、店舗数・地域・業種など画像と組み合わせると絞れる情報が無いか
  • プロフィールやリンク先の自社サイトに、取引先を推測させる記述が無いか
  • 同じ取引先について、過去に別の切り口で出した画像や数字と組み合わせて特定できないか

数字を伴う実績を発信する場合の注意点は、自社の実績を数字で発信する前に確かめる3点もあわせて確認してください。

公開前のチェックリスト

  1. 売上・個人情報・設定値が主役の画面、開くだけで記録が残る画面を候補から外したか
  2. 店名は「〇〇市」付きの表記も含めて、すべて記号に置き換えたか
  3. 記事タイトル・商品名は汎用の仮の文言に差し替えたか
  4. 画像の上で塗りつぶすのではなく、表示を変えてから撮ったか
  5. OCRで文字を抜き出し、禁止語リスト(地名・駅名を単独登録・記事タイトルは部分一致)と照合したか
  6. 作業者とは別の人が、等倍で目視したか
  7. 投稿文・プロフィール・リンク先と組み合わせて特定できないか確認したか

まとめ

  • 店名の一部だけを伏せる匿名化は危ない。「〇〇市」を伏せても、残った駅名・地名のほうが固有で、店は特定できる。店名は丸ごと記号に置き換える
  • 記事タイトルや店舗数など、店名以外の文字からも取引先に辿れる。匿名化は画像単体ではなく、投稿・プロフィール・リンク先を含めた全体で判断する
  • 管理画面9枚を整えた実例では、作業者とは別の人の確認で、2枚に市名だけ伏せた店名が3つ残っているのを公開前に見つけた。伏せ字の行は処理済みに見えやすく、目視1回では見落としやすい
  • 確認はOCRで禁止語リストと機械的に照合し、さらに別の人が等倍で目視する。両方で合格したものだけを使う
  • 売上の画面や、開くだけで相手側に記録が残る画面は、匿名化以前に撮らない。素材が無い題材は無理に出さず保留する

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