Shopifyで定期購入を始める構成|Basicプランでのアプリ選定と割引・送料無料の組み合わせ方
Shopifyで定期購入を始める構成|Basicプランでのアプリ選定と割引・送料無料の組み合わせ方
「定期購入を導入したいが、Shopifyの上位プランに上げないとできないのか」「サブスクアプリは月額が高いのでは」という相談を受けることがあります。
先に結論を書きます。
- 定期購入はBasicプランで導入できます。プランのアップグレードは不要です
- アプリは月額0円で始められる従量課金型を選べば、初期投資ほぼゼロでスタートできます
- 「定期便は10%OFF+送料無料」のようなよくある特典は、割引はアプリの販売プランで、送料無料はShopify標準の自動ディスカウントで、と役割を分けて設定するのが正解です
弊社は名古屋の美容サロンが運営するECサイトで、サロンオリジナルの健康食品に定期便(10%OFF+送料無料)を実装し、本番稼働させました。この記事では、その実例をもとにアプリの選定基準・設定手順・公開前の検証方法をまとめます。
定期購入の仕組み:Shopifyの「販売プラン」を理解する
まず前提の整理です。Shopifyには「販売プラン(selling plan)」という定期購入のための標準機能があります。商品に「30日ごとにお届け・10%OFF」のような購入方法を追加できる仕組みで、Basicプランを含む全プランで利用できます。
ただし、販売プランを作成・管理する画面はShopify本体にはありません。ここがつまずきやすいところで、販売プランを操作するには対応アプリを入れる必要があります。つまり構図はこうです。
- 定期購入の土台(販売プラン・定期課金・注文の自動生成)=Shopify本体が持っている
- その土台を操作する画面と契約管理=アプリが提供する
この構図を理解しておくと、アプリ選びの基準が変わります。アプリが独自の仕組みで定期購入を丸ごと抱え込むのではなく、Shopifyの販売プランに乗っているアプリを選べば、データはShopify側に残り、テーマのカスタマイズとも共存しやすくなります。
アプリ選定:月額0円の従量課金型から始める
サブスクアプリは海外製・国産あわせて多数ありますが、小規模ECが最初に見るべきポイントは3つです。
1. 料金体系が「月額0円+手数料」で始められるか
定期購入は始めてみないと件数が読めません。月額固定のアプリを最初から契約すると、契約者が数人の期間は持ち出しになります。月額0円・サブスク注文ごとに数%の手数料というプランがあるアプリなら、売れた分だけコストが発生する形でリスクなく始められます。
弊社の実例では、国産のサブスクアプリ(GO SUB)のスタータープラン(月額0円・サブスク注文の2%手数料)を採用しました。月商が伸びてきたら有料プランとの損益分岐を計算して切り替えればよく、この判断は後からで問題ありません。
2. Shopifyネイティブの販売プランを使っているか
前述の通り、販売プラン準拠のアプリであれば、カートや注文管理はShopify標準の仕組みで動きます。独自方式のアプリは、テーマの構造によっては表示が崩れたり、解約時にデータが失われたりするリスクがあります。
3. 管理画面が日本語で、店舗スタッフが運用できるか
定期購入は「作って終わり」ではなく、契約の停止・スキップ・決済失敗への対応が日常運用として発生します。実際に触る人が迷わない管理画面かは、機能一覧より重要です。
設定手順:割引と送料無料は「別の場所」で設定する
ここが本記事でいちばん伝えたいところです。「定期便は10%OFF+送料無料」という特典を作る場合、2つの特典を同じ場所で設定しようとしないのが正解です。
割引(10%OFF)→ アプリの販売プランで設定
アプリ側でプラングループ(例:「定期便」)を作り、その中にプラン(例:「1ヶ月に1回お届け・10%OFF」)を作成して対象商品を紐づけます。これで商品ページに定期購入の選択肢が出て、選ぶと割引後の価格が適用されます。
送料無料 → Shopify標準の「自動ディスカウント」で設定
送料無料はアプリの機能を探すのではなく、Shopify管理画面の「ディスカウント」から自動ディスカウント(送料無料タイプ)を作成します。ポイントは2つの設定です。
- 購入タイプを「定期購入(サブスクリプション)」に限定する — これで通常購入には適用されず、定期便だけが送料無料になります
- 「すべての定期的な支払いに適用」を選ぶ — 初回だけでなく2回目以降の自動決済にも毎回適用されます
この方式なら、クーポンコードの入力は不要で、定期便を選んだお客様のカートに自動で送料無料が反映されます。
なお「初回は送料をいただき、2回目から送料無料」という設計は、Shopifyの自動ディスカウントには該当する選択肢がありません。定期購入に送料無料を付けるなら初回から無料になる前提で価格設計をしてください。
価格表示の実例
実例の商品は通常価格6,930円(税込)でした。定期便を選ぶと10%OFFの6,237円+送料無料になります。商品ページには「ご購入方法」として通常購入と定期便をラジオボタンで並べ、それぞれの価格と「30日ごとに自動お届け」であることを明記しました。定期購入は解約手続きへの不安が購入のハードルになるため、何がいつ届いて、いくら引き落とされるのかを選択時点で見せることが転換率に直結します。
カスタムテンプレートではアプリのウィジェットが出ないことがある
テーマをそのまま使っている店舗では、アプリを入れると商品ページに定期購入の選択UIが自動で表示されます。一方、商品ページをカスタムテンプレートで作り込んでいる場合、アプリのウィジェットが表示されないことがあります。アプリのUIはテーマ標準の商品フォームに差し込まれる設計のため、独自構造のテンプレートでは差し込み位置が見つからないためです。
この場合もあきらめる必要はありません。販売プラン準拠のアプリであれば、カートに追加する際に販売プランのIDを渡すだけで定期購入として処理されます。具体的には、商品フォームに selling_plan の hidden フィールドを置き、ラジオボタンの選択に応じてJavaScriptで値を切り替える実装で、テーマのデザインを保ったまま定期購入セレクターを自前で組み込めます。実例のECサイトもこの方式で、既存のデザインに統合した定期便セレクターを実装しました。
カスタムテンプレートを使っている店舗は、導入前に「アプリのウィジェットが表示されない可能性」を織り込んで、実装まで対応できる制作会社に相談することをおすすめします。
公開前の検証:カートAPIで「定期購入として載っているか」を確かめる
見た目上セレクターが表示されていても、カートに販売プランが渡っていなければただの通常購入です。この状態で公開すると、お客様は定期便のつもりで買ったのに割引も定期発送も適用されない、という事故になります。公開前に次の2点を実測してください。
- カートの中身を実際に確認する — 定期便を選んでカートに入れ、カートページで「プラン名(例: 1ヶ月に1回お届け)」が商品行に表示されているか、価格が割引後の金額になっているかを見る。技術者であれば
/cart.jsのレスポンスで selling_plan と最終価格を直接確認できます - 送料無料の適用を確認する — チェックアウト画面まで進み、定期便のときだけ送料が0円になること、通常購入では送料がかかることの両方を確かめる
さらに、本番公開後の初回のサブスク注文が入ったら、アプリ側に「契約(サブスクリプション契約)」が作成されているかを確認してください。ここまで見て、はじめて2回目以降の自動決済が動く状態だと確認できたことになります。
運用開始前に決めておくこと
最後に、設定以外で事前に決めておくべき運用面を2つ挙げます。
解約・スキップの受付方法。多くのアプリには、お客様が自分で解約やスキップを行えるマイページ機能がありますが、テーマへのブロック追加など別途設定が必要な場合があります。設定が後回しになるなら、当面は「解約はLINEまたはメールで受付」と案内する運用でも回ります。ただし件数が増えると対応が負担になるため、早めにセルフ解約の導線を用意するのがおすすめです。
手数料と月商の損益分岐。従量課金型で始めた場合、サブスク経由の月商が伸びると月額固定プランのほうが安くなる転換点が来ます。「サブスク月商がいくらを超えたらプランを見直す」というラインを最初に計算しておくと、判断を先送りにせずに済みます。
よくある質問
Q. Shopifyのプランを上げないと定期購入はできないのでは?
できます。定期購入の土台である販売プラン(selling plan)はBasicプランを含む全プランで利用できます。必要なのはプランのアップグレードではなく、販売プランを操作するアプリの導入です。
Q. サブスクアプリの月額費用はどのくらいかかりますか?
月額0円・サブスク注文ごとに数%の手数料、というプランを持つアプリがあります。契約件数が読めない導入初期は従量課金型で始め、サブスク経由の月商が伸びてから月額固定プランとの損益分岐を計算して切り替えるのが、持ち出しのない進め方です。
Q. 定期購入の送料を「初回だけ有料、2回目から無料」にできますか?
Shopify標準の自動ディスカウントには該当する選択肢がなく、定期購入限定の送料無料を作ると初回から適用されます。初回送料を取りたい場合はアプリ独自機能や追加開発が必要になるため、まずは「初回から送料無料」の前提で商品価格に送料分を織り込む設計を検討してください。
まとめ
- 定期購入はShopify Basicプランで導入できる。上位プランへの変更は不要
- アプリは「月額0円+従量手数料」「Shopifyネイティブの販売プラン準拠」「日本語管理画面」の3条件で選ぶ
- 割引はアプリの販売プランで、送料無料はShopify標準の自動ディスカウント(購入タイプ=定期購入限定・すべての定期的な支払いに適用)で、と役割を分けて設定する
- 送料無料は初回から適用される。「2回目から無料」という選択肢はない前提で価格設計する
- カスタムテンプレートではアプリのウィジェットが出ないことがあるが、selling_plan を渡す自前実装で対応できる
- 公開前にカートで「プラン名と割引後価格が載っているか」「定期便だけ送料無料になるか」を実測してから公開する
物販のある美容室・店舗にとって、定期購入は毎月の売上の土台になる仕組みです。導入のハードルはプラン料金ではなく設定の設計にあります。弊社ではShopifyの定期購入導入をテーマのカスタマイズ込みで支援していますので、自店のテーマで動くか不安な方はお気軽にご相談ください。