LステップとエルメL Messageの違い|機能表ではなく「使い切れるか」で選ぶ
LステップとエルメL Messageの違い|機能表ではなく「使い切れるか」で選ぶ
「LステップとエルメL Message、どちらを入れるべきですか」という質問は、LINE公式アカウントの構築を請けていると必ず受けます。実際、弊社にも先日、美容クリニックのマーケティング支援会社から「既存のLINE公式アカウントにどちらを導入するのが適切か、理由も添えてほしい」という問い合わせが届きました。
先に結論を書きます。この2つは「どちらが高機能か」で選ぶツールではありません。リッチメニューの出し分け、ステップ配信、タグ管理、回答フォームといった中心機能は、どちらでも実現できます。差が出るのは、友だち数の規模・やりたいことの複雑さ・毎月の費用を回収できるか・誰が運用するかの4点です。そして選定でいちばん大事な問いは「そのツールを使い切れるか」です。
弊社(graciauto)は名古屋を拠点に、店舗ビジネスのホームページ制作とLINE公式アカウント構築をしています。この記事は、友だち113人の自社アカウントをエルメで構築し、友だち5,000人超のクリニック案件でツール選定の回答を作り、友だち数51万人規模の美容サロンでLステップのデジタル回数券を構築した、規模のまったく違う3つの実例がもとになっています。
結論:4つの判断軸で決める
機能表を並べて優劣を探すより、次の4点を自分のアカウントに当てはめるほうが早く、確実です。
| 判断軸 | エルメ寄りになる条件 | Lステップ寄りになる条件 |
|---|---|---|
| 友だち数と配信量 | 数百人まで。配信は月数回 | 数千人以上。セグメントを切って高頻度で配信 |
| やりたいことの複雑さ | あいさつ・フォーム・簡単な出し分け | 流入経路分析、細かい権限管理、外部システム連携 |
| 月額の回収 | まず無料で試したい | 月額分を売上で回収できる見込みがある |
| 運用する人 | 自分または店のスタッフ | 外部の代理店・複数人での分業 |
上の表で左に寄るならエルメ、右に寄るならLステップです。左右に割れた場合は、後述する「使い切れるか」で決めます。
なお、同じツール内でもプランによってできることが大きく違うため、具体的な機能とプランの突き合わせ方は別記事(LINE配信ツールの選び方)にまとめています。この記事は「2つのツールのどちらに向かうか」という一段手前の判断を扱います。
友だち113人なら:エルメの無料プランで実用レベルまで組める
まず小規模の実例です。弊社の自社LINE公式アカウントは友だち113人で、エルメのフリープラン(無料)を使っています。この構成で実際に組めたのは次の内容です。
- 問い合わせ・無料相談フォーム(名前・相談内容など6項目、必須指定つき)
- サービス案内のカルーセルテンプレート4本(タップで相談フォームへ誘導)
- 友だち追加直後の4択アンケート(回答に応じて興味タグを付与し、対応するサービス案内を自動送信)
- 興味タグ別の出し分けと、あいさつメッセージの差し替え
つまり、友だち数百人までの店舗が「LINEで問い合わせを受けて、興味に合わせて案内を出し分ける」ところまでは、月額0円で到達できます。この規模でLステップの有料プランを最初から契約する必要はありません。
ただし、エルメで設計するときに知っておくべき仕様が2つあります。
1つは、リッチメニューの登録枠に上限があることです。弊社のプランでは登録上限が2件で、「全員向け」と「もう1枚」で使い切ります。顧客の状態ごとに何枚もメニューを持たせる設計はできません。
もう1つは、シナリオ配信の止め方です。弊社が過去にエルメでウェビナーの自動追客を構築した際、配信を止める操作が「全体停止」しかなく、特定の人だけ止める使い方ができませんでした。このため「配信対象をタグ保持者に絞り込む」設計に組み替えて解決しています。エルメで細かい配信制御をしたい場合は、止める設計ではなく、送る対象をタグで絞る設計にしておくのが正しいやり方です。
友だち5,000人超なら:Lステップを推奨した4つの理由
次に中規模の実例です。冒頭で触れたクリニック案件は、友だち5,000人超の既存アカウントに拡張ツールを後付けする構成で、シナリオ設計は先方、実装を弊社が担当する分業でした。「LステップとL Messageのどちらが適切か」という直接の質問に対して、弊社はLステップを推奨しました。理由は4つです。
- セグメント管理の細かさ。5,000人を一括配信する運用はまず成立しません。属性・行動でセグメントを切る前提になり、その管理機能はLステップのほうが層が厚いためです。
- 流入経路分析。どのQR・どのリンクから友だちが増えたかを計測し、経路ごとにアクションを変える機能が要件に入る規模だからです。
- 担当者権限の管理。クリニック側スタッフ・支援会社・実装者と複数の関係者が同じ管理画面に入るため、権限を分けられることが運用上の安全につながります。
- 引き継ぎのしやすさ。Lステップは構築代行の業者層が厚く、将来運用者が変わっても引き継ぎ先を見つけやすい。これは発注者側のリスクヘッジになります。
一方で、エルメを「月額を抑えて機能を絞る場合の選択肢」として併記しました。どちらかが常に正解なのではなく、この規模・この関係者数だからLステップ、という判断です。
友だち数十万人・複雑な要件なら:上位プラン前提で試算する
最大規模の実例です。友だち数51万人規模の美容サロンで、LINE上のデジタル回数券(残回数の表示・店頭QRでの消化・残回数ごとのリッチメニュー自動切り替え)を構築しました。この要件はLステップのプロプランで実装しています。残回数を友だち情報欄で持ち、店頭QRの読み取りをトリガーに残回数を更新し、セグメントリッチメニュー14枚を条件で出し分ける構成です(実装の詳細はこちらの記事)。
この案件で学んだ選定の進め方がもうひとつあります。ツールの確定は要件が固まるまで保留してよいということです。この案件では要件定義を5回改訂する間、ツールはエルメ・Lステップの両にらみのまま進め、要件と各ツールのプラン仕様を突き合わせられる段階になってからLステップに確定しました。先にツールを決めると、要件のほうをツールの制約に合わせて曲げることになりがちです。
いちばん多い失敗は「高機能なほうを選んで、使い切れない」
ここまでの実例は「規模と要件に合わせて選ぶ」話でした。最後に、選定でいちばん起こりやすい失敗を書きます。それは、機能の多いほうを選んで安心し、契約したまま使い切れずに放置されることです。
実際にあった例です。あるフィットネスジムの集客相談を受けた際、ホームページを確認すると、すべてのボタンがLステップの予約ページに直行していました。つまりLステップは契約済みで、決済や予約の入り口としては動いている。ところが、友だち追加からの段階的な案内、興味を持った人への追客、配信からの導線設計といった、このツールの本来の強みはほぼ使われていない状態でした。月額は払い続けているのに、機能の一部しか動いていないわけです。
これは特殊な例ではありません。高機能ツールは「できること」が多いぶん、構築と運用に手数がかかります。設計する人・文章を書く人・数字を見て直す人がいなければ、機能は棚に並んだままになります。
だから契約前に確認すべきは、機能表ではなくこの3点です。
- 最初の30日で何を組むか、具体的に言えるか(あいさつ・メニュー・フォームなど)
- 毎月の配信・改善を誰がやるか、名前を挙げられるか
- 月額と構築費を、何の売上で回収するか
3つとも答えられないなら、まずエルメの無料プランで小さく始めて運用の習慣を作るほうが、結果的に早く進みます。逆に3つとも答えられて、規模や要件が先の表の右側に寄るなら、最初からLステップで組むほうが二度手間になりません。
既存アカウントに後付けするときの注意4点
どちらのツールを選ぶ場合でも、すでに友だちがいるLINE公式アカウントへ拡張ツールを接続するときは、共通の注意点があります。クリニック案件の回答を作る際に前提として整理した内容です。
- 既存の友だちは、接続しただけでは認識されない。拡張ツールが友だちを個別に認識するのは、その友だちがメッセージ送信やタップなどのアクションをしてからです。接続した瞬間に全員へタグを付けるようなことはできないため、初回配信やリッチメニューの刷新を「認識のきっかけ」として設計に織り込みます。
- LINE公式アカウント側の応答機能は停止または移行する。あいさつメッセージ・自動応答・リッチメニューがツール側と二重に動くと挙動が混乱します。どちらに寄せるかを接続前に決めておきます。
- 配信数の試算を先にやる。友だち5,000人に一斉配信を1回すれば5,000通です。LINE公式アカウント側の料金プランは配信通数で決まるため、拡張ツールの月額だけでなく、公式側のプラン超過も含めて試算します。
- 接続後は、LINE公式の管理画面のチャットが使えなくなる。Bot接続に切り替えると、スタッフの1対1対応はツール側のトーク画面に移行します。ツールの選定とは別に、現場の運用変更として事前に周知が必要です。
まとめ:ツールの優劣ではなく、自分の運用体制に聞く
LステップとエルメL Messageの違いを機能表で探しても、答えは出ません。中心機能はどちらにもあり、違いが出るのは規模・複雑さ・費用回収・運用者という自分側の条件だからです。
- 友だち数百人・シンプルな導線 → エルメの無料プランから。弊社の実例では問い合わせフォームと興味別の出し分けまで月額0円で構築できます
- 友だち数千人・セグメント配信・複数人運用 → Lステップ。管理の細かさと引き継ぎやすさが効きます
- 要件が複雑 → ツール確定を急がず、要件を固めてからプラン仕様と突き合わせる
そして、どちらを選ぶにしても「最初の30日で何を組むか・誰が運用するか・何で回収するか」に答えられることが、機能表のどの行よりも成果を左右します。
弊社では、LINE公式アカウントの構築を、ツール選定の段階からお手伝いしています。既存アカウントへの後付けや、契約済みツールの立て直しのご相談も可能です。「うちの規模ならどちらか」という段階の質問こそ、お気軽にお問い合わせください。