日時を選ぶイベント案内をLINEのステップ配信で組む構成|「日程×時間帯」ごとにタグとシナリオを分け、開始5分前に参加URLを送る設計
日時を選ぶイベント案内をLINEのステップ配信で組む構成|「日程×時間帯」ごとにタグとシナリオを分け、開始5分前に参加URLを送る設計
オンラインセミナーや説明会を「3日間、各日12時・18時・21時から選べます」という形で案内したい。LINE公式アカウントのステップ配信でこれを組もうとすると、最初に詰まるのが配信をどの単位で分けるかです。
結論から書きます。分割の単位は「日程×時間帯」の組み合わせです。3日程×3時間帯なら9本のシナリオを作る。1本にまとめて中で分岐させようとすると、ほぼ必ず配信時刻の管理で破綻します。
この記事では、教育系のオンライン講座事業者の3日間セミナーで実際に組んだ構成を、社名を伏せたうえで設計単位・接続の順序・公開前の点検表まで分解します。
分割の単位は「日程×時間帯」。1組み合わせ=1シナリオにする
ステップ配信のシナリオは「開始してから何時間後・何日後に送る」で組み立てます。イベント案内の場合、送りたいのはイベント開始時刻から逆算した時刻です。
12時の回に申し込んだ人と21時の回に申し込んだ人では、「開始1時間前」の実時刻が9時間ずれます。同じシナリオに両方を入れると、片方には必ず間違った時刻に届く。だから時間帯ごとにシナリオを分けます。日程が3日あるなら、さらに3倍になります。
3日程×3時間帯=9本。多いと感じるかもしれませんが、文面はテンプレート機能で共有すれば編集箇所は増えません。実際の案件では「開始1時間前」「開始5分前」の文面を各日3枚のテンプレートで持ち、9本のシナリオはそれを参照するだけにしています。文言を直すときに触るのは3枚で、9本すべてに反映されます。
シナリオが9本でも、管理する原稿は3枚。ここを分けておくのが後々効きます。
予約は予約カレンダー機能ではなく「タグ」で持つ
配信ツールには予約カレンダーやサロン予約の機能が付いていることがあります。イベント案内でこれを使うか迷うところですが、日時を選ばせるだけならタグで持つほうが素直です。
理由は3つあります。
- カレンダー機能は「予約枠に定員がある」「スタッフを割り当てる」ための仕組みで、全員が同じURLを見るオンラインイベントには機能が過剰
- 配信の絞り込み条件はタグでしか書けないツールが多く、カレンダーの予約状態を配信条件に使えない
- キャンセルや時間変更のときに、タグなら「外して付け直す」だけで済む
実際にこの案件では、当初カレンダー側のキャンセル機能で対応する案が出ていました。ところが管理画面で予約データを確認したところ、3日分すべて予約件数0件。申込は最初からタグとシナリオだけで動いていて、カレンダー側には何も記録されていませんでした。カレンダーの自動キャンセル処理を作り込んでも、誰にも発火しなかったわけです。
設計に入る前に、いま実際にどのデータが増えているかを管理画面の件数で確かめる。この確認を1回入れるだけで、動かない仕組みを作る手戻りを防げます。
タグの持ち方はこうします。
- 時間帯タグ:「1日目 12時選択」「1日目 18時選択」…の9本
- 予約済みタグ:Day単位で3本(「1日目 予約済み」など)
- キャンセルタグ:Day単位で3本
時間帯タグが配信の絞り込み条件、予約済みタグとキャンセルタグは「未参加者への再案内を送るかどうか」の判定に使います。
各シナリオの中身は2通だけにする
9本それぞれの中身はシンプルです。
- 1通目:開始1時間前のリマインド(キャンセル用のリンクを入れる)
- 2通目:開始5分前に参加URLを送る
参加URLを5分前まで出さないのは、URLが早く出回るほど「登録していない人に転送される」「前日に開いて『まだ始まらない』と離脱する」が起きるからです。5分前なら、届いた瞬間に開けば間に合います。
配信ツールによっては「開始時刻を指定して送る」ではなく「シナリオ開始から◯時間後」でしか組めません。その場合、シナリオを開始するタイミングが申込ボタンを押した瞬間になるため、相対時間では正しい時刻に着地しません。ここは「翌日◯時◯分」のような日時指定ができるステップとして組みます。日時指定が使えるかどうかは、ツール選定の段階で確認しておく項目です。
配信対象は「タグを持っている人だけ」に絞る
ここが構成のいちばん重要な部分です。
ステップ配信の各ステップは、シナリオ購読者全員に送る設定ではなく、該当の時間帯タグを持っている人だけに絞った配信対象に載せます。
これは、キャンセルした人に参加URLが届くのを防ぐためです。タグを外しても走行中のシナリオは止まりません。「シナリオ停止」のアクションが用意されているツールもありますが、シナリオを個別指定できず全停止しかできない仕様のことがあるため、これ一本に頼るのは危険です。全停止では他の日程のリマインドまで一緒に消えます。
タグ保持を配信条件にしておけば、タグが外れた時点でその人は配信対象から外れます。停止アクションが効かなくても、URLは届きません。
作業としては、シナリオの「配信対象を追加」で絞り込み条件のトラックを作り、そこへ2通を載せ替えます。このとき、購読者全員向けのトラックは0件にしておく。両方に同じメッセージが残っていると二重配信になります。
移行作業のコツは1シナリオずつ完結させることです。9本まとめて新トラックを作ってから載せ替えると、途中で中断したときに「全員トラックにも絞り込みトラックにも同じ通が入っている」状態のシナリオが残ります。1本ずつ、作る→載せ替える→全員トラックを空にする、まで終わらせてから次へ進みます。
予約とキャンセルを対称に閉じる
予定変更は必ず起きます。片道だけ作ると、キャンセルした人が二度と戻ってこられません。予約とキャンセルは対称のループにします。
予約ボタンを押したとき
- 同じ日の他2つの時間帯タグを外す(時間変更に対応)
- その日のキャンセルタグを外す
- 選んだ時間帯タグを付ける
- その日の予約済みタグを付ける
- 対応する時間帯のシナリオを開始する
キャンセルを押したとき
- その日の時間帯タグ3本を外す
- その日の予約済みタグを外す
- キャンセルタグを付ける
- 翌日に再案内を送るシナリオを開始する
再案内から予約ボタンに戻れば、①に帰ってループが閉じます。何度でも予定変更できる状態です。
ここで見落とされやすいのがキャンセル時に予約済みタグを外すこと。時間帯タグだけ外して予約済みタグが残ると、「予約済みだが参加URLを開いていない人」への再案内の対象にキャンセル者が混ざります。キャンセルした人に「参加URLが開かれていません」と送るのは、印象として最悪です。
ボタン内のアクションは「順序」まで設計する
1つのボタンに複数のアクションを登録するとき、上から順に実行されます。この順序が結果を変える箇所が1つあります。
タグを付ける処理は、シナリオを開始する処理より前に置く。
シナリオ側の配信対象が「該当タグを持っている人」で絞られている以上、タグが付いていない状態でシナリオを開始すると、条件の評価タイミングによっては対象外と判定されます。9本のボタンのうち1つだけ順序が逆になっている、という状態は実際に起こります。並びが揃っているかは、保存後に全ボタンを開いて目視で確認する項目です。
また、時間変更に対応するときは「同じ日のタグを3本とも外してから選択タグを付ける」と書きたくなりますが、実行順の事故で選択タグまで消えることがあります。「選んでいない2本だけを外す」という書き方にしておけば、最終状態は同じで事故は起きません。
公開前に見る接続点検表
部品が揃っていることと、利用者が入口から最後まで通れることは別です。実際に本番設定を1項目ずつ開いて監査すると、部品は全部あるのに導線がつながっていない箇所が出ます。公開前に次の9点を確認してください。
- フォームが公開ONになっているか。作成しただけで下書き状態のフォームは、リンクを踏んでも動きません。キャンセル用と回答用で複数あると、一部だけOFFが残ります
- 送信先URLが仮文字列のままでないか。「[Day2の予約URL]」のようなプレースホルダーが本文に残っていないか、全テンプレートを検索します
- タグに付いている旧アクションが残っていないか。設計を変更した際、古い「このタグが付いたら◯◯を送る」が残ると二重送信や意図しない即時送信になります
- テンプレート文面の日付・時刻が正しいか。複製して作ると、Day2のテンプレートにDay1の日時が残ります。これは実際に見つかる誤りです
- 未参加者への再案内の条件。「予約済み」かつ「URL未タップ」だけでは不十分で、該当の時間帯タグを持っていることをAND条件に足し、タップ済みとキャンセル済みを除外します
- 各シナリオの購読者全員トラックが0件か
- 絞り込みトラックに2通とも載っていて、時刻が正しいか
- フォームのURLを本文に貼るときは、生URLではなく差し込み機能で入れる。生URLを直接貼ると、誰が回答しても同じ人物として記録されることがあります
- 保存後にもう一度開いて残っているか。管理画面は保存したように見えて反映されていないことがあるため、9本すべてを再読込して確認します
運用に入ってからの注意
整理フォルダの名前で判断しない。 タグが「不要」という名前のフォルダに入っていても、本番のシナリオが参照していることがあります。削除する前に、そのタグを条件に使っているシナリオがないかを検索します。
一度しか発火しないタグに注意する。 「参加完了」のようなタグは、すでに付いている人には二度目が発火しません。同じアカウントで再テストすると「動いていない」ように見えます。テストは専用アカウントで、1周ごとにタグを外してから行います。
管理画面の反応が遅くても連打しない。 配信タイミングを削除した直後などに30〜60秒固まることがあります。多くの場合、操作自体は成功しています。連打すると二重登録になります。
まとめ
日時選択のあるイベント案内をステップ配信で組むときの骨子は5つです。
- 分割単位は「日程×時間帯」。3日程×3時間帯なら9本のシナリオを作り、文面はテンプレート共有で3枚に集約する
- 予約状態はカレンダー機能ではなくタグで持つ。着手前に、実際にどのデータが増えているかを件数で確認する
- 各シナリオは「1時間前」「5分前」の2通。参加URLは5分前に出す
- 各ステップの配信対象を「該当タグ保持者」に絞る。停止アクションに頼らず、タグが外れたら届かない構造にする
- 予約とキャンセルを対称に閉じる。キャンセル時は時間帯タグと予約済みタグの両方を外す
そして公開前に、点検表の9項目を1つずつ開いて確認する。部品を作り終えた時点は完成ではなく、入口から最後まで人が通れることを確認できた時点が完成です。