LINEのステップ配信が途中で止まるとき|別のステップを開始すると前のステップが自動停止する仕様と、翌日配信を確かめるテストの組み方
LINEのステップ配信が途中で止まるとき|別のステップを開始すると前のステップが自動停止する仕様と、翌日配信を確かめるテストの組み方
ステップ配信の1通目は届いたのに、翌日の2通目が届かない。配信設定を見直しても時刻もテンプレートも合っている。エラー表示も出ていない。
この症状で最初に確かめるべきことは、文面でもタグでもありません。その友だちに、途中で別のステップ配信が始まっていなかったかです。
結論:ステップ配信は「1人につき同時に1本」。別のステップが始まると前のステップは自動で止まる
当社が構築でよく使うLINE拡張ツール「エルメ(L Message)」の公式FAQには、次のように書かれています。
> 同時に配信できるステップは1つのみです。ステップ配信中に別のステップ配信が開始されると、もともと流れていたステップが自動で停止します。
つまり、友だち1人が同時に「購読」できるステップ配信は1本だけです。ボタンのタップ、フォーム回答、QRコードの読み取り、タグの付与など、どんなきっかけであっても、2本目のステップが開始された瞬間に1本目は止まります。止まった1本目に残っていた「翌日10時」「開始5分前」といった未送信のメッセージは、もう送られません。
ここから導かれる正しい進め方は3つです。
- 設計時:アカウント内のステップ配信を全部並べ、「同じ人に同時に走る可能性がある組み合わせ」を洗い出す
- 確認時:届いたかどうかではなく、ステップの購読が生きているかを配信履歴で見る
- テスト時:翌日以降の配信は、ステップを1本だけ起動した状態で実時間を待って確かめる
以降、実際の構築案件で確認した内容をもとに順に説明します。なお、同時に走らせられる本数や停止の挙動はツールによって異なります。エルメ以外をお使いの場合は、そのツールの公式マニュアルで「複数のステップ(シナリオ)を同時に配信できるか」を必ず確認してください。
配信履歴にはこう残る:「アクションによる停止」
この仕様がどう表に出るかを、実例で示します。
3日間連続のオンライン講座を運営する事業者のLINEで、参加者が日ごとに視聴時間帯(12時・18時・21時)を選ぶ仕組みを構築しました。時間帯のボタンを押すと、その枠専用のステップ配信が始まり、「開始1時間前の案内」「開始5分前の視聴URL」「開始15分後の再送」が順に届く構成です。1日目から3日目まで、日程×時間帯で計9本のステップがあります。
公開前の通し試験では、テスト用のLINEアカウントで入口から3日目の回答フォームまでを一気に操作しました。その場で届くべきメッセージは各1通ずつ、二重送信もなく、付与されるタグも正しい。ここまでは合格です。
この試験の翌日に確認すると、届く予定だった2日目・3日目の「1時間前(11:00)」「5分前(11:55)」「再送(12:15)」は1通も届いていませんでした。1対1のチャット画面には「配信対象外」のログすらありません。
原因は、友だち詳細の配信タブにある配信履歴を開いて確定しました。
| ステップ | 開始 | 終了 | 終了理由 |
|---|---|---|---|
| 1日目:21時希望 | 11:47 | 11:55 | アクションによる停止 |
| 2日目:12時希望 | 11:55 | 11:56 | アクションによる停止 |
| 3日目:12時希望 | 11:56 | 11:57 | アクションによる停止 |
1日目のステップは、2日目のボタンを押した11:55に止まっています。2日目のステップは、3日目のボタンを押した11:56に止まっています。3日目のステップは、回答フォームの送信で「1時間後に個別相談の案内を送るステップ」が始まった11:57に止まっています。各ステップが、次のステップに順番に止められていたわけです。
ボタンの「ステップ配信を開始する」アクションに、「他のステップを停止する」という設定項目はありません。設定ミスではなく、プラットフォームの仕様として必ずこう動きます。
確認に使える画面は3つあります。
- 友だち詳細 → 配信タブ → 配信履歴:ステップごとの開始・終了時刻と終了理由が分かる。「アクションによる停止」があれば、その時刻に別のステップが始まっている
- ステップ配信一覧:ステップごとに「購読中/途中で終了した友だち/読了済」の人数が出る。「途中で終了」が増えていれば、どこかで上書きが起きている
- 友だちリストの「ステップ配信状況」:ここの「停止中」は、誰かが手動で止めたという意味ではなく「いま購読しているステップが無い」という意味
「届いたか」ではなく「購読が生きているか」を見る
この種の不具合が見つけにくい理由は、確認の観点にあります。
構築後の点検では、ふつう「メッセージが1通ずつ届くか」「タグが正しく付くか」「二重に届かないか」を見ます。どれも大事ですが、すべてその場で観測できることです。翌日に送られる予定のメッセージは、その場では届かないのが正常なので、届いていなくても異常に見えません。
だからこそ、翌日以降の配信を持つステップについては、点検項目に次の1行を足します。
- 操作が終わった時点で、残っていてほしいステップが「購読中」のままか
届いた通数とタグだけを見ている限り、購読が止まっていても検査は通ってしまいます。配信履歴を開く習慣を点検手順に組み込むのが、最も確実な予防です。
止まってよいケースと、止まっては困るケースを分ける
「同時に1本」という仕様は、常に悪さをするわけではありません。設計時に、どの上書きが望ましく、どれが困るのかを分けておきます。
止まってよい(むしろ正しい)
- 同じ目的のステップの切り替え:12時の枠を選んだ人が18時に変更した場合、12時用のステップが止まって18時用だけが残る。旧枠の「5分前案内」が届かなくなるので、これは望ましい動きです
- 順番に進むステップ:前のステップの最終メッセージが送られた後に、次のステップが始まる構成。先の講座の例でも、実際の参加者は1日に1日程ずつ進むため、前日分の再送(開始15分後)が終わってから次の日程を選びます。実運用では上書きの実害は出ません
止まっては困る
- 目的の違うステップ同士の衝突:たとえば講座の2日目を待っている参加者が、カレンダーから個別相談を予約し、相談のリマインド用ステップが始まる。この瞬間に講座側のステップが止まり、3日目の視聴URLが届かなくなります。参加者は視聴できず、運営側にはエラーも出ません
- 既存のナーチャリング配信との衝突:友だち追加後に数週間かけて届く教育用ステップを受け取っている人が、キャンペーン用のステップに入ると、教育用は途中で終わります。逆も同じです
- 他の担当者が作ったステップとの衝突:制作会社が作ったステップと、店舗やクライアント側が独自に追加したステップが、互いを知らないまま同じ友だちに走るケース。引き継ぎや複数人運用のアカウントで起こりえます
美容室やサロンでいえば、「来店後フォローのステップ(翌日のお礼・3週間後の再来店案内)」を受け取っているお客様が、店頭POPのQRコードを読んで「新メニュー案内のステップ」に入ると、再来店案内は届かなくなります。配信数が増えたはずなのに再来店の反応が落ちた、という形で表に出ます。
止めたくないステップを守る3つの設計
衝突が困る組み合わせが見つかったら、対処は次の3つから選びます。上から順に、手間が小さい方法です。
A. 後から始まるステップの開始条件に「除外」を入れる
守りたいステップの進行中であることを示すタグ(例:「講座◯日目 予約済」)を付けておき、他のステップを開始するアクション側に「このタグが付いている人は除く」という条件を足します。設定の変更は小さく、既存の配信を作り直す必要がありません。複数人で運用しているアカウントでは、設定に加えて「このタグが付いている間は別のステップを始めない」という運用ルールを共有しておきます。
B. 絶対に落とせない通知は、ステップ以外の配信方式に載せる
予約日時のリマインドのように1通でも落とせない通知は、日付を基準にしたリマインド配信や、タグで絞り込んだ予約送信のメッセージ配信に載せ替える方法があります。ステップ配信とは別の配信機能なので、ステップ同士の上書きに巻き込まれない構成にできます。作り替えの工数はかかるため、衝突の頻度と、落ちたときの損失の大きさで判断し、載せ替えた後は実時間テストで到達を確かめます。
C. 1本のステップにまとめ、中を条件で分岐させる
同じ人に順番に届けたい内容が複数のステップに分かれているなら、1本に統合し、各メッセージの送信条件をタグで絞る構成にします。ステップが1本であれば、そもそも上書きが起きません。前のステップが終わった直後に次を始めたいだけなら、ツール側の「自動継続」の設定も使えます。
翌日配信を確かめるテストの組み方
最後に、検証のやり方です。ここが最も見落とされやすい部分です。
公開前のテストでは、時間を節約するために「3日分の操作を30分で一気に通す」圧縮テストをしたくなります。その場で届くメッセージ、タグ、フォームの遷移を確かめるには有効な方法です。ただし、翌日以降の配信は、圧縮テストでは原理的に観測できません。一気に操作すると、各ステップは次のステップに止められてしまうからです。翌日に何も届かなくても、それが本番でも起きる不具合なのか、テストの進め方が作った現象なのかを区別できません。
そこで、テストを2種類に分けます。
1. 圧縮テスト(当日・30分程度)
- 見るもの:即時配信の文面、通数、タグの付与と解除、フォームやボタンの遷移、二重送信の有無
- 終わったら:友だち詳細の配信履歴を開き、「アクションによる停止」がどこで起きたかを記録する。圧縮テストでは停止が並ぶのが正常。この記録が、そのまま「同時に走りうる組み合わせ」の一覧になります
2. 実時間テスト(翌日以降の配信用)
- テスト用アカウントで、確かめたいステップを1本だけ起動し、他のボタンやフォームには触れずに待つ
- 起動直後に、ステップ配信一覧で「購読中 1人」になっていることを確認する
- 予定時刻に届いたら、配信履歴でも途中停止になっていないことまで見る
- 日程が複数あるなら、1日1本ずつ、実際の参加者と同じ進み方で通す
実時間テストは日数がかかります。3日間の講座なら、検証にも最低3日が必要です。納期を組む時点で、この待ち時間を工程に入れておきます。翌日配信を一度も実時間で確かめないまま公開すると、参加者に視聴URLが届かないという形で初めて気づくことになります。
あわせて、テスト用のLINEアカウントが過去の試験で別のステップを購読したままになっていないかも、開始前に確認します。前の試験の購読が残っていると、新しいステップを起動した時点でそちらが止まり、履歴の読み取りがややこしくなります。
関連する仕様:止めたいのに止まらないケース
今回とは逆に、「止めたはずのステップから配信が届く」という症状もあります。こちらは、タグを外しただけでは走行中のステップが止まらないという別の仕様によるものです。詳しくはステップ配信を止めたのに配信が届く原因で整理しています。日程×時間帯ごとにステップを分ける構成そのものは、日時を選ぶイベント案内をLINEのステップ配信で組む構成をご覧ください。
2つを並べると、ステップ配信の開始と停止のルールはこう整理できます。
- タグを外しても、走行中のステップは止まらない(止めるには停止アクションが要る)
- 別のステップを始めると、走行中のステップは止まる(止めたくなければ開始側で除外する)
どちらも「タグの状態」と「ステップの購読状態」は別物だ、という同じ原則から来ています。
まとめ
- エルメのステップ配信は、友だち1人につき同時に1本。別のステップが始まると、前のステップは自動停止し、残りのメッセージは送られない
- 途中で止まったときは、友だち詳細の配信履歴で「アクションによる停止」の有無と時刻を見る。友だちリストの「停止中」は「購読中のステップが無い」の意味
- 点検では「届いたか」「タグが正しいか」に加えて、「残したいステップが購読中のままか」を見る
- 同じ目的の切り替えや順番に進む構成なら上書きは問題ない。目的の違うステップが同じ人に重なる組み合わせだけ、開始条件の除外・別の配信方式・1本への統合のいずれかで守る
- 翌日以降の配信は、ステップを1本だけ起動して実時間で待つテストでしか確かめられない。圧縮テストとは分けて工程に入れる
ステップ配信の設計の見直しや、既存アカウントで配信同士が衝突していないかの点検についてのご相談は、お問い合わせフォームまたはLINEから受け付けています。