リッチメニューが反応しない・切り替わらないときの確認順|LINEは「作る」と「適用する」が別工程
リッチメニューが反応しない・切り替わらないときの確認順|LINEは「作る」と「適用する」が別工程
リッチメニューを作って保存したのに自分のLINEに出てこない。表示はされるがタップしても何も起きない。条件で切り替わるはずのメニューが、いつまでも同じまま——この3つは症状が違うだけで、どれも「設定がどこにあるか」を取り違えていることがほとんどです。画像の作り直しやアカウントの不具合を疑う前に、確認する順番があります。
先に結論です。リッチメニューまわりのトラブルは、次の順で見れば原因はほぼ特定できます。
- そのメニューが「誰に」適用されているかを見る。リッチメニューは作成と適用が別工程で、作っただけでは誰の画面にも出ない
- タップが効かないときは、返信の有無ではなくアクションの実行履歴を見る。条件付きアクションは、どの条件にも当たらないとエラーも出さずに何も起きない
- 切り替えは後勝ち。複数のメニュー変更が連続で走ると最後の1つだけが残るので、表示を決める情報は1つに絞る
- 画像を差し替えたらタップ領域も必ず見直す。座標が旧画像のままだと「押しても効かない」「別の場所が反応する」が起きる
- 「タップしたのに返信が来ない」だけの症状は、リッチメニューではなく応答設定の問題。メニュー側は正常に動いていることが多い
graciautoではLINE公式アカウントの構築を、友だち数百人の物販アカウントから有効友だち約51万人の多店舗サロン企業アカウントまで複数の本番環境で行っています。以下は、その構築で実際に使っている確認手順です。
前提|リッチメニューは「作る」「適用する」「切り替える」の3工程
最初に押さえるべきはここです。リッチメニューの設定は、次の3つが別の工程になっています。
- 作る:画像をアップロードし、タップ領域とアクション(URLを開く・テキストを送る・別のメニューに変更する等)を登録する
- 適用する:そのメニューを誰に表示するかを割り当てる。全体のデフォルトにするか、特定の友だちに個別に当てるか
- 切り替える:友だちの状態やタップをきっかけに、表示中のメニューを別のメニューへ変更する
症状から、どの工程を疑うべきかはほぼ決まります。
| 症状 | 疑う工程 |
|---|---|
| メニューが1つも出ない/古いメニューのまま | 適用 |
| 表示はされるがタップしても何も起きない | アクション(条件) |
| 一部の友だちだけ切り替わらない | 切り替えの条件 |
| 押した場所と違うボタンが反応する | 画像とタップ領域の座標 |
| タップ後の自動返信だけが来ない | 応答設定(メニューの外) |
この切り分けをせずに画像やキーワードを直し始めると、原因と関係ない場所を触り続けることになります。
確認順1|そのメニューは「誰に」適用されているか
正しいやり方は、そのメニューが今どの友だちに割り当たっているかを一覧で確認することです。確認する場所は使っている環境で変わります。
- LINE公式アカウントの管理画面のみで運用している場合:リッチメニューは表示期間とオン・オフで全体表示が決まります。下書きのまま保存した、表示期間が今日を含んでいない、オンにしていない——このいずれかなら、誰の画面にも出ません
- 拡張ツール(Lステップ・エルメなど)を使っている場合:メニュー一覧に適用人数が出ます。全体に出しているメニューには数万〜数十万人といった数字が入り、新しく作ったメニューは0人です
0人(またはオフ)であれば、それは誰の画面にも出ていない状態です。故障ではなく、適用という工程がまだ済んでいないだけです。
この仕様は、本番アカウントで作業するときの安全装置にもなります。実際、多店舗展開するサロン企業の本番アカウント(有効友だち約51万人)で回数券用のメニューを14枚新規作成したときは、全体表示中のメインメニュー(適用51.8万人)には一切触れず、新規メニューは0人適用のまま作り込み、検証はスタッフのLINE1件にだけ適用して行いました。新規作成そのものは顧客に影響しないため、51万人規模の本番でも安全に構築できます。
逆に、ここを誤解すると2種類の事故が起こりえます。「作った瞬間に全員へ配信される」と思い込んで本番で何も作れなくなるか、確認のつもりで全体のデフォルトに設定してしまい、全友だちの画面が入れ替わるかです。全体デフォルトへの設定だけは即時に全員へ効くので、この1操作だけは切り分けて扱い、テスト用の友だちへ個別適用して確認してから本番に反映する2段階にするのが安全です。
もう1つ、拡張ツール(Lステップやエルメなど)を導入している場合は、表示されているメニューがLINE公式アカウントの管理画面側のものか、ツール側のものかを確認してください。ツールを入れると友だちごとの適用はツール側が握るため、管理画面で作ったメニューが出ないのは構造上の必然です。設定場所そのものが移っています。
確認順2|タップが効かないのは「アクションが発火していない」ことが多い
メニューは出ているのにタップしても何も起きない場合、確認すべきは返信が来たかどうかではなく、アクションが実行されたかどうかです。拡張ツールを使っているなら、友だちリストから対象の友だちを開き、タイムライン(実行履歴)を見ます。QRの読み取り、友だち情報欄の更新、リッチメニューの変更、送信メッセージが秒単位で残ります。タップしたのに履歴が1件も残っていなければ、そのボタンのアクションは発火していません。
ここで効いてくるのが条件の設計です。条件付きアクションは、どの条件にも当たらなかった場合、エラーも警告も出さずに何も起きません。実例として、3種類の回数券を扱うアカウントで「割引チケット」ボタンが完全に無反応になったことがあります。原因は画像でもボタン領域でもなく、条件が参照していた友だち情報欄の項目が空欄だったことでした。値が空欄だと「0より大きい」にも「0と等しい」にも一致せず、すべてのアクションが空振りします。
この型の無反応を防ぐ設計は2つです。
- 未入力(登録なし)と0を必ず区別する。数値の0と空欄は別物なので、条件は「登録あり/なし」で先に分岐させる
- どの条件にも当たらなかったときの受け皿を1件用意する。上の事例では、券を持っていない人には購入案内のテキストを返す条件を最後に追加しました。受け皿があれば「無反応」ではなく「案内が出た」という結果になり、条件不一致だと即座に判断できます
「何も起きない」を「想定外の分岐に入ったことが見える」状態に変えておくのが、切り分けを速くする一番の投資です。
確認順3|切り替えは後勝ち。表示を決める情報は1つに絞る
条件でメニューを出し分けるときは、表示する対象を決める情報を1つだけ持つのが正しい設計です。状態はデータ側(友だち情報欄)に持ち、リッチメニューは表示に徹させます。
これを守らないと起きるのが、複数のメニュー変更が連続して走る問題です。前述の回数券では、当初3券種×残回数の14通りを「残回数が◯のとき」という条件だけで組む設計になっていました。この形だと、購入していない券種も残回数の初期値0で条件が成立してしまい、複数のメニュー変更が順番に実行されて、最後に実行されたメニューだけが表示されることになります。「累計購入数が0より大きい」をAND条件に足す案も検討しましたが、過去に別の券種を買った履歴が残っていると同じ現象が再発するため採用しませんでした。
最終的には「現在券種」という単一の項目を持たせ、購入時にその値を上書きし、メニューの切り替え条件は「現在券種が◯ かつ 残回数が◯」に統一しました。この形なら過去の履歴が増えても複数のメニューが同時に発火せず、残回数が0になっても現在券種は保持されるため、使い切り後の画面もきちんと出せます。
あわせて棚卸ししておきたいのが、他の施策に紛れ込んだメニュー操作です。ステップ配信やタグ付けのアクションにリッチメニュー変更が含まれていると、意図しないタイミングで表示が上書きされます。「切り替わらない」ではなく「切り替わった直後に戻る」という症状が出たら、まずメニュー操作を持つアクションを全部書き出して競合を確認してください。残回数と連動させる実装の詳細はリッチメニューを残回数で自動切替する実装にまとめています。
確認順4|画像を差し替えたら、タップ領域も一緒に見直す
画像の差し替えは「画像を替えて保存」で終わりにせず、保存後に編集画面を開き直し、タップ領域の座標が保存されているかまで確認するのが正しい手順です。
実際、メインメニューを新しいデザインへ差し替えたとき、ボタンの座標が旧画像用の配置のまま残っていたことがあります。画像とタップ領域は別データなので、片方だけ更新すると見た目のパネルと押せる位置がずれ、「押しても効かない」「隣のボタンが反応する」という症状になります。このときは7か所すべての領域を実測し直し、保存後にもう一度読み込んでプレビュー上で各パネルと一致することを確認しました。
そもそもアップロードできない、という手前で止まることもあります。画像はJPG/PNG・1MB以下が条件で、サイズは大きいレイアウトが2500×1686、横長1段が2500×843です(拡張ツールによっては、この2種類しか受け付けない設定になっています)。デザインデータからの書き出し原寸(実例では10417×7025ピクセル・5〜7MB)はそのままでは通りません。制作フローに縮小工程を最初から組み込んでおくと、入稿のたびに手戻りしません。macOSであれば次の1コマンドで一括変換できます。
sips --resampleHeightWidth 1686 2500 -s formatOptions 80 *.jpg
このコマンドは元ファイルを上書きするので、必ず書き出し用のコピーを入れたフォルダで実行してください。
タップしたのに「返信」が来ないときは、応答側を疑う
リッチメニューのタップでテキストを自動送信し、そのキーワードに自動応答を返す設計にしている場合、返信を担当しているのはリッチメニューではなく応答設定です。つまりメニューは正常に動いていて、返信側だけが止まっているという状態がありえます。
このパターンで多い原因は3つです。チャット(手動対応)が有効で応答時間内は自動応答が動かない設定になっている、キーワード応答が完全一致でしか発動しない、拡張ツールの導入で応答の主導権がツール側へ移っている——のいずれかです。詳しくは公式LINEのキーワード応答が反応しない原因で解説しています。
切り分けの鍵は、返信の有無でメニューの正常性を判断しないことです。メニュー側が動いているかどうかは、あくまでタップの実行履歴が残っているかで確認します。
一人ひとりに違うメニューを出すには何が必要か
前提として、LINE公式アカウントの標準機能では、リッチメニューを複数作って期間で切り替えることはできますが、友だち一人ひとりの状態に応じて出し分けることはできません。「切り替わらない」という相談が、そもそも標準機能の範囲外だったというケースは珍しくありません。
出し分けを実現する道は2つです。
- 拡張ツールのセグメントリッチメニューを使う:友だち情報やタグで出し分けできます。ただしプラン条件があり、実際に選定したツールでは、出し分け自体が中位プラン以上、QRの読み取りをトリガーに毎回アクションを実行する機能は上位プラン限定でした。線引きはツールごとに違うので、必要な機能を書き出してからプランを選びます。実費の考え方はLINE構築の月額実費の記事にまとめています
- Messaging APIのユーザー単位リッチメニューを自前で使う:ユーザーごとの設定はデフォルトメニューより優先され、即時反映されます。口コミ管理の社内向けLINEでは、本部用と店舗担当者用の2種類(2500×843)をAPIで登録し、招待コードの登録完了時に自動で紐付け、担当を外れたら個別メニューも解除する運用にしました
判断の目安はシンプルです。出し分けの軸が2〜3種類で固定なら、自前のAPI連携でも十分回ります。友だちの状態(残回数・購入履歴・来店状況)で細かく変えるなら、条件分岐を管理画面で組めるツール側のほうが構築も引き継ぎも早くなります。
よくある質問
Q. リッチメニューを作った時点で、全員に配信されてしまいませんか?
されません。作成と適用は別工程で、新規作成したメニューの適用人数は0人です。ただし「全体のデフォルトに設定する」操作だけは即時に全友だちへ効きます。本番アカウントでは、新規作成→テスト用の友だち1件に個別適用→実機で確認→全体反映、の順に進めてください。
Q. 自分のLINEでは切り替わるのに、他の人は古いままです。
自分だけ個別適用が効いていて、他の友だちは既定のメニューのまま、という状態がまず疑われます。次に、切り替えのアクションがその友だちで発火していない可能性です。表示の不具合を疑う前に、対象の友だちの実行履歴と、条件に使っている項目の値(空欄になっていないか)を確認してください。
Q. どこまで自分たちで作れて、どこから相談すべきですか?
全員共通の1枚メニューであれば、標準機能で自社運用できます。友だちの状態に応じた出し分けや自動切替が必要になった時点で、ツールのプラン選定と条件設計が絡むため、設計だけでも外部に相談する価値が出ます。
まとめ
リッチメニューのトラブルは、「作る」「適用する」「切り替える」のどこで止まっているかを特定すれば、ほぼ設定で解決します。
- 表示されないときは適用を見る。新規作成は0人適用が正常で、それ自体は無害
- タップが効かないときはアクションの実行履歴を見る。条件不一致は無反応という形で現れる
- 切り替えが安定しないときは、表示を決める情報を1つに絞る。状態はデータ側に持ち、メニューは表示に徹させる
- 画像を替えたらタップ領域まで確認する。画像仕様は1MB以下・2500×1686または2500×843
この4点を確認順として固定しておけば、原因の切り分けは数分で終わります。LINEの構築や設計でお困りのことがあれば、お問い合わせからご相談ください。