LINE公式アカウントの初期設定はどこまで作るか|最初に用意する定型文とメニューの最小構成
LINE公式アカウントの初期設定はどこまで作るか|最初に用意する定型文とメニューの最小構成
LINE公式アカウントを開設した直後、管理画面には設定できる項目が並んでいます。あいさつメッセージ、応答メッセージ、リッチメニュー、カードタイプメッセージ、クーポン、ショップカード。全部を埋めてから公開すべきか、それとも最低限で走り出すべきか。ここで手が止まる方は多いはずです。
先に結論を書きます。初期設定で用意するのは「あいさつメッセージ1本・応答メッセージ(定型文)3〜4本・リッチメニュー1枚」の3点で足ります。配信文のストック、ステップ配信、セグメント設計は開設時点では不要です。友だちがまだいない段階で配信の仕組みを作り込んでも、直す前提の空振りになります。
弊社graciautoは名古屋でLINE公式アカウント構築を手掛けており、自社アカウントの構築に加えて、東海エリアで21店舗を展開する白髪染め専門サロンFCの店舗別アカウントを実際に設定・運用しています。新店オープンのたびにアカウントを立ち上げるので、「最初に何を作れば店として成立するか」のセットが実務の中で固まっています。その実物の構成から書きます。
実例:21店舗運用のサロンが新店に用意する初期設定の一式
多店舗のサロンFCでは、新店がオープンするたびにその店専用のLINE公式アカウントを用意します。このとき既存店の設定を土台に、次の一式を移植して開店初日を迎えます。
| 設定項目 | 数 | 内容 |
|---|---|---|
| あいさつメッセージ | 1本 | 友だち追加直後の自動送信。店の紹介+おすすめ案内の画像を1枚添付 |
| 応答メッセージ(定型文) | 4本 | キーワードに反応して返す定型文。「メニューを確認」「サロン情報」「口コミ確認」「当店の特徴」 |
| リッチメニュー | 1枚 | 画面下部の6分割メニュー。予約・求人・店舗情報・ショップカード・ホームページへの入口 |
| カードタイプメッセージ | 3本 | 応答メッセージから呼び出す横スクロールのカード。サロン情報・メニュー・クーポン |
| リッチメッセージ | 8本 | 画像1枚にリンクを載せた案内。あいさつや応答から添付して使う |
多く見えますが、骨格は最初の3行です。カードタイプメッセージとリッチメッセージは、あいさつと定型文から呼び出される「部品」であって、独立した設定ではありません。友だち追加した人が最初の1分で受け取るもの(あいさつ)、聞きたいことに返るもの(定型文)、いつでも押せる入口(リッチメニュー)。この3点が揃えば、店のアカウントとして成立します。
注目してほしい数字は、定型文が「4本」だという点です。
定型文は増やすより「使われる4本」に絞る
このサロンFCのアカウントにも、かつてはもっと多くの応答メッセージが登録されていた時期があります。しかし現在の運用で生きているのは前述の4本だけで、それ以外は運用の中で削除されました。新店へ移植する際も、この4本だけをコピーします。
ここから引ける判断基準は明確です。定型文は「お客様が実際に送ってくる言葉」に紐づく分だけ作る。想定問答を網羅しようとして10本、20本と作り込んでも、実際に反応するのは数本で、残りは管理画面の中で古びていきます。しかも使われない定型文は情報が更新されず、半年後に「古い料金を返す自動応答」として事故の種になります。
最初に作る定型文を選ぶ基準は次の3つです。
- リッチメニューから呼び出すもの。メニューのボタンを押したら定型文が返る、という導線にする場合、その分の定型文は必須です
- 来店前に必ず聞かれること。店舗なら「メニューと料金」「場所と営業時間」の2つ。この2つで来店前の質問の大半をカバーできます
- こちらから誘導したい行動。口コミ投稿のお願い、予約ページへの案内など、店として押したい導線を1〜2本
この基準で選ぶと、業種を問わずだいたい3〜5本に収まります。それ以上必要に感じる場合は、定型文ではなく後述のリッチメニューやカード側で受けるほうが整理しやすくなります。
実例:自社アカウントは「アンケート1問」を初期設定の軸にした
もう1つ、弊社自身のLINE公式アカウントの初期構成も公開します。こちらはサロンではなくBtoBの相談窓口なので、構成の考え方が少し違います。
用意したのは次の4点です。
- あいさつメッセージ:短い挨拶文+4択アンケート+リッチメニューの表示
- 4択アンケート1問:「どのサービスに興味がありますか?」。回答に応じて興味タグを付け、対応するサービス案内カードを自動送信
- サービス案内カード4本:各サービスの説明と相談導線をまとめた横スクロールカード
- リッチメニュー1枚:6分割。相談フォーム2枠+サービス案内4枠
軸にしたのはアンケートです。友だち追加の直後に1問だけ聞き、その回答で「何に興味がある人か」をタグとして記録します。友だちが増えてから配信を始めるとき、このタグがあれば最初から興味別に出し分けられます。開設時点で配信文は1本も作っていませんが、後から配信を設計するための「仕分け」だけは初日から動かしている、という構成です。
重要なのは、これを完成形と位置づけていないことです。ステップ配信も、興味別のシナリオも、この時点では作っていません。初期設定は「友だちが増え始めても失礼がない最低限」であって、作り込みは友だちの反応というデータが貯まってからやるほうが精度が上がります。開設前の想像で組んだシナリオは、ほぼ確実に後で直すことになるからです。
初期設定で注意する3つのポイント
最小構成を組む際に、実務でつまずきやすい点を3つ挙げます。いずれも設定画面だけ見ていると気づきにくいものです。
1. 応答設定の「モード」を最初に確認する
あいさつや定型文が「設定したのに動かない」というトラブルの原因は、文面ではなく応答モードの設定にあることがほとんどです。LINE公式アカウントには手動チャットと自動応答の切り替えがあり、モードの組み合わせによっては、作った定型文が呼ばれない状態になります。定型文を1本作ったら、必ず自分のスマホで友だち追加してキーワードを送り、実際に返ってくるまで確認してから次に進んでください。
また、予約システムや外部ツールをbot(Messaging API)で接続する予定がある場合は注意が必要です。botが自動返信するアカウントで標準のあいさつ・応答メッセージを併用すると、1つのメッセージに2通の返信が届く二重応答が起こりえます。弊社が運用している通知用アカウントでは、bot側が友だち追加時の案内を返す設計のため、標準のあいさつメッセージと応答メッセージは最初からOFFにしています。どちらで返すかを最初に決め、片方に寄せるのが原則です。
2. 友だち追加URLは「取得のたびに変わる」前提で管理する
初期設定が終わったら、ホームページやSNSに友だち追加URL(lin.ee で始まる短縮URL)を貼ることになります。ここで知っておくべき仕様があります。この短縮URLは、管理画面で発行するたびに異なる文字列が生成されます。同じアカウントに対して複数のURLが並存し、どれも正しく動きます。
これを知らないと、サイトに貼ったURLと案内文のURLが違うことに後から気づき、「どちらかが間違っているのでは」と確認作業に時間を使うことになります。対策はシンプルで、最初に発行した1本を正としてメモに控え、以後の掲載はすべてそこからコピーすることです。サイト側に貼る場合は、設定値1箇所にURLを持たせて全ページがそれを参照する作りにしておくと、差し替えも1行で済みます。
3. 多店舗・複数拠点なら「コピーして差し替える」前提で作る
2店舗目以降の展開が視野にある場合、1店舗目の初期設定は「あとでコピーする原本」になります。このとき電話番号・予約URL・店舗ページURLといった店舗固有の値がどの設定のどこに埋まっているかを一覧にしておくと、新店展開が「コピー→固有値の差し替え」という単純作業になります。
前述のサロンFCの新店立ち上げでも、まず既存店の設定一式をそのまま移植して開店に間に合わせ、予約URLや電話番号などの固有値は確定し次第差し替える、という2段階で進めています。逆にこの一覧がないと、コピーした新店アカウントの奥に前の店の予約URLが残り続ける、という見えにくいミスが起こりえます。どこに固有値があるかを記録しながら作ることが、そのまま展開時の保険になります。
開設からの手順まとめ
最後に、ここまでの内容を実際の作業順に並べます。
- 応答モードの確認:手動チャットと自動応答の設定を確認し、テスト用に自分で友だち追加する
- あいさつメッセージ1本:挨拶+「この後どうしてほしいか」を1つだけ添える(メニュー案内、アンケート、予約導線など)
- 定型文3〜5本:「メニュー・料金」「場所・営業時間」+誘導したい行動の分。作るたびに実機で返答を確認する
- リッチメニュー1枚:予約・問い合わせなど最重要の導線を大きい枠に。全枠を埋められなければ4分割でも構いません
- 友だち追加URLの発行と記録:正のURLを1本決めて控え、掲載はすべてそこからコピーする
- 公開して友だちを増やし始める:配信設計・ステップ配信・セグメントは、友だちの反応データが貯まってから着手する
初期設定の目的は「完璧なアカウント」を作ることではなく、友だちが増え始めても対応が破綻しない最低限を、最短で整えることです。あいさつ1本・定型文4本・メニュー1枚。まずこの骨格を通しで動かし、作り込みは実際の反応を見ながら足していってください。
弊社では、LINE公式アカウントの初期構築から、予約・顧客管理と連動した運用設計までを一貫して請け負っています。「開設はしたが、どこまで作ればいいか分からない」という段階のご相談もお受けしています。