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LINE構築の相場が20万〜100万に割れる理由|見積書を項目単位で分解した


LINE構築の相場が20万〜100万に割れる理由|見積書を項目単位で分解した

LINE構築の相場が20万〜100万に割れる理由|見積書を項目単位で分解した

「LINE構築の相場を調べたら、20万円と100万円が同じ検索結果に並んでいて、どちらが正しいのか分からない」——店舗経営者やWEB担当者から、よくこの相談を受ける。結論から言うと、相場が5倍に割れて見えるのは、業界の値付けが乱れているからではない。「LINE構築」という一語が指す作業範囲が、会社ごとにまったく違うからだ。

だから依頼側が最初にやるべきことは、相場表を探すことではない。見積を「項目単位」に分解して、各社が同じ範囲を見積もっているかを揃えることだ。範囲さえ揃えれば、20万円と100万円の差の正体はほぼ説明がつく。この記事では、実際に美容サロン向けに構築したLINEシステムの見積を項目に分解し、どこで金額が動くのかを開示する。

「LINE構築」は3つの層に分かれている

見積書を読む前に、押さえておきたい前提がある。LINE構築の費用は、性質の違う3つの層が混ざっている。ここを分けずに「一式いくら」で比べるから、相場が割れて見える。

  • ツールの利用料(毎月かかる固定費):LINE公式アカウント自体の月額プランと、Lステップ・エルメといった管理ツールの月額。これは制作会社の取り分ではなく、使い続ける限り発生するランニングコスト。
  • 初期構築費(一度だけかかる制作費):リッチメニュー・シナリオ配信・タグ設計・自動化の作り込み。ここが会社ごとに最も差が出る。
  • 運用・保守費(月額または都度):配信代行、数字の分析、納品後の改修対応。

20万円の見積と100万円の見積を並べたとき、多くの場合は「初期構築費に含まれる作業範囲」が違う。安い方が手を抜いているとは限らない。単に、やる作業の数が違うだけのことが多い。

実例:サロン回数券システムの見積を分解する

抽象論だけでは伝わらないので、実際に名古屋の美容サロンFC向けに構築した「LINE回数券システム」の見積を、項目単位で開示する。紙の回数券をLINE上でデジタル化し、来店時にQRを読むと残り回数が1つ減り、メニュー画面が残回数に応じて自動で切り替わる仕組みだ。

これを「LINEで回数券を作りたい」と一行で発注すると、20万円の会社も80万円の会社も、同じ言葉で受注する。だが中身の項目数はこれだけ違う。

見えている部分(どの会社の見積にも入る)

  • 友だち情報欄の設計:残回数・購入日・有効期限を保持する項目を作る
  • リッチメニュー画像:残り回数ごとに表示を変えるため、3回券なら残3〜残0の4枚、5回券なら残5〜残0の6枚が要る
  • 付与用QR・消化用QRの発行

ここまでなら、正直それほど工数は大きくない。安い見積は、この範囲で止まっていることが多い。見た目は同じ「回数券システム」に仕上がる。

見えにくい部分(金額を割る本体)

金額が倍近く動くのは、実運用で事故を起こさないための作り込みだ。ここが入っているかどうかを、発注前に確認したい。

  • 空読み対策:消化のたびに残回数を無条件で1減らす作りにすると、使い切った後にもう一度QRを読まれたとき、残回数がマイナスになる。これを防ぐには、「まだ消化できる状態か」をタグで先に判定してから減算する設計にするのが正しい。この一手間を入れるだけで、消化QRの処理は8〜10ステップに増える。
  • 有効期限の自動計算と期限切れ判定:購入日から6か月後を有効期限として自動でセットし、期限を1日でも過ぎたQRは消化させない。日付をまたいだ瞬間に弾く判定を、あらかじめ組んでおく必要がある。
  • 法令対応:回数券のような前払い式の仕組みは、有効期限が6か月を超えると資金決済法の規制対象になりうる。そのため「購入日ちょうど6か月後まで有効、翌日から無効」を暦どおりに厳密に処理する設計にしておく。これは知らなければ最初から設計に入らない項目で、後から気づくと作り直しになる。
  • 券種の横展開:スタートアップ・スタンダード・プレミアムのように券種が増えれば、その分だけメニュー・QR・自動処理を複製し、それぞれ調整する。

同じ「回数券をLINEで」でも、見える部分だけなら20万円台、事故対策と法令対応まで含めれば数十万円上乗せになる。この差は「ぼったくり」ではない。納品後に店頭で残回数がマイナスになったり、期限切れの券が使えてしまったりする事故を、未然に潰すための工数だ。むしろ、この作り込みが見積に入っていない安さこそ、後で店頭トラブルとして跳ね返るリスクがある。

そして、見積が100万円側に振れるのは、たいてい「多店舗展開」が絡むときだ。1店舗で動く仕組みを、店舗ごとにQRを分けて、どの店で何回消化されたかを集計できるようにする。数十〜数百店舗のFC規模になると、店舗識別の設計、店舗別の付与・消化データの管理、本部側での残回数の手動修正権限まで必要になる。単店で完結する構築とは、そもそも設計の粒度が違う。つまり20万円と100万円は、同じ土俵で比べる相手ではなく、対象の規模が違う別物であることも多い。ここを取り違えて「安い方でいい」と決めると、あとで多店舗対応の作り直しが発生する。

月額は「制作費」と別枠で必ず確認する

初期構築費だけを見て発注を決めると、あとで効いてくるのが月額だ。ここは項目を分けて質問しないと、見積書に出てこないことがある。

LINE公式アカウント自体にも、無料枠の配信通数を超えると、通数に応じた月額プラン(ライト・スタンダードなど)がかかる。さらに、シナリオ配信やセグメント配信、QR連動のような自動化を実現するには、Lステップやエルメといった管理ツールが要る。この管理ツールの月額が、制作費とは別に毎月発生する。

たとえばLステップの場合、QRを読むたびに処理を発火させる「流入経路分析」を使うにはプロプラン(月32,780円)が必要になる。外部システムと残回数を読み書きするAPI連携を足すと、さらに月11,000円。フル構成だと月43,780円という水準だ。残回数ごとにメニューを切り替えるセグメントリッチメニューも、最下位プランでは使えず、一定以上のプランが前提になる。

つまり「初期20万円」という見積でも、動かし続けるには毎月3〜4万円のツール代が別途かかる、というケースは普通にある。ここを制作費に紛れ込ませず、初期費と月額を分けて出してもらうことが、正しい見積の読み方だ。金額の大小より、「何が初期で、何が毎月か」を切り分けられているかを見たい。

「構築して終わり」かどうかも金額に出る

もう一つ、金額差の背景に「配信設計まで含むか」がある。

たとえば、ある教育系クライアントのウェビナー集客をLINEで自動化したとき、参加者がキャンセルしても、リマインド配信を個別に止める処理を入れておかないと、視聴用URLが予定どおり届き続けてしまう。配信ツールの仕様上、タグを外すだけでは、動き出した配信は止まらないからだ。そのため「キャンセル操作時に、該当の配信を個別停止する」処理を設計にあらかじめ組み込んでおく。

こうした「配信が事故なく回るための設計」は、リッチメニューを並べるだけの構築には含まれない。安い見積が悪いのではなく、そもそも見積もっている作業の階層が違う、ということだ。配信の中身(何通・何を送るか)の設計や原稿まで含むのか、器を作るだけなのか。これも項目単位で確認したい差になる。

見積書をもらったら確認する6項目

相場表を探す代わりに、複数社から見積をもらったら、次の6点を項目単位で揃えて比較してほしい。

  • 初期構築費と月額(ツール利用料)が、分けて書かれているか
  • 使う管理ツールは何で、どのプラン(いくら)が前提か
  • リッチメニューは何枚・何パターンまで含むか
  • シナリオ配信・ステップ配信の設計と原稿作成は含むか、別料金か
  • QR連動や外部連携など、自動化の作り込みが含まれるか
  • 納品後の改修・数字の分析(運用保守)は月額に入るか、都度か

この6項目を各社に同じ様式で答えてもらうと、20万円と100万円のあいだにある作業量の差が、そのまま見えてくる。ここまで揃えば、あとは「自店に本当に必要な項目はどこまでか」を判断するだけだ。全部盛りが正解ではなく、目的に対して過不足のない範囲を選べばいい。

まとめ

LINE構築の相場が20万〜100万に割れるのは、値付けが無秩序だからではなく、「LINE構築」という言葉が指す作業範囲が会社ごとに違うからだ。だから相場表を鵜呑みにするより、見積を項目単位に分解して範囲を揃えるほうが、はるかに正確な判断ができる。

押さえるべきは3つ。初期構築費・ツール月額・運用保守を分けて出させること。回数券のような仕組みは「見える部分」より「事故を防ぐ作り込み」で金額が動くと理解すること。そして自店の目的に対して、どの項目まで必要かを決めてから発注すること。相場ではなく項目で見れば、価格の妥当性は自分の目で判断できる。

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