ホームページの問い合わせをLINEに寄せるときの設計|フォームと併存させる置き方と、寄せすぎて失うもの
ホームページの問い合わせをLINEに寄せるときの設計|フォームと併存させる置き方と、寄せすぎて失うもの
ホームページを作るとき、あるいは作り直すときに「問い合わせはLINEにしたい」という要望はほぼ必ず出ます。実際、フォームより気軽に送ってもらえるのは事実です。
ただ、ここで多いのが「じゃあフォームは要らないですね」と全部をLINEに寄せてしまう決め方です。これをやると、問い合わせの数は増えても、業務側で処理できない問い合わせが混ざり始めます。
先に結論を書きます。
LINEは窓口のうちの一本として置く。経路は2〜3本に絞り、並び順を全ページで固定し、LINEでは受けきれない種類の問い合わせのために、フォームか電話を必ず1本残す。
以下、実際に設計した案件の構成をもとに、何をどう決めるかを順に書いていきます。
LINEに寄せると何が良くて、何が失われるのか
まず良い点は、はっきりしています。相手にとってのハードルが低いことです。
フォームは氏名・会社名・メールアドレス・問い合わせ内容を全部埋めて送信するもので、送った側からすると「申請」に近い感覚になります。返信も「数日以内に」と書かれていることが多い。「まだ決めていないけど少し聞きたい」という温度感の人には重すぎます。LINEなら一言送るだけで済むので、この層を取りこぼしません。
一方で、LINEに全部を寄せると次の4つが失われます。設計時にはこちらを先に確認しておいたほうがいいです。
1. 記録が個人のトーク画面に閉じる
フォームは送信内容がメールと管理画面の両方に残ります。LINEはトーク履歴が唯一の記録です。担当者が1人ならいいのですが、複数人で見る、あとから遡る、退職時に引き継ぐといった運用が必要なら、そこを別途設計しないと成立しません。
2. 必須項目と添付が取れない
採用応募がわかりやすい例です。証明写真、履歴書のPDF、希望職種の選択といった項目は、LINEのトークでは集められません。見積依頼で「型番」「数量」「納期」を必ず埋めてほしい、というケースも同じです。
3. 相手がLINEを使わない場面がある
法人の窓口として問い合わせる場合、担当者は業務用のメールで記録を残したいことが多い。高齢の方や、ご家族が遠方から代理で連絡してくるケースでは、電話のほうが確実です。
4. 計測が途中で切れる
フォームは「送信完了」でコンバージョンとして計測できます。LINEは友だち追加まではURLで追えますが、そこから先の会話が成約につながったかどうかは、サイト側の計測では追いきれません。広告を回す予定があるなら、この差は事前に把握しておく必要があります。
経路は何本置くか|実案件3件の構成
窓口の数は「多いほど親切」ではありません。運用できる数だけ置く、が判断基準です。返信担当が決まっていない経路、アカウントすら持っていない経路を置くと、反応がないまま放置される窓口ができあがります。
実際に設計した3件の構成です。
生活支援サービス(福岡・個人向け)|電話・LINE・メールの3本
高齢の方とそのご家族が主な相手で、緊急性の高い相談が入ります。ご本人は電話、遠方のご家族はLINEやメール、というように使う人によって最適な経路が分かれるため、3本すべてを残しました。
決めたのは並び順です。電話 → LINE → メールの順を全ページで固定し、トップページ、サービス紹介ページ、会社概要、各下層ページの下部CTAとフッターすべてで同じ並びにしました。ページごとに順番が違うと、サイト内を回遊した人が毎回どのボタンを押すか考え直すことになります。
クリニック(愛知・個人向け)|WEB予約・電話・LINE+別枠のフォーム
予約は外部の予約システム、当日の連絡は電話、相談はLINE、という役割分担にしました。スマホからの利用が8割を超える業種なので、スマホでは画面下に固定バーを置き、PCでは画面右端に縦のCTAを置く、という別々の設計にしています。
ここで重要なのは、問い合わせフォームは廃止せず、別に新設したことです。理由は次の章に書きます。
美容室(名古屋・個人向け)|電話とネット予約の2本、LINEは置かない
この店舗はLINE公式アカウントを持っていませんでした。そこで、サイト内のLINEボタンとアイコンをすべて外し、電話とネット予約(予約サイト)の2本に統一しました。ヘッダーのCTA、大型のCTAバー、スマホの固定バー、スマホメニュー、フッターの全箇所です。
「あとで作るかもしれないから、ボタンだけ置いておく」は避けたほうがいいです。押しても何も起きない窓口があるサイトは、それ自体が信用を削ります。アカウントを開設して、返信する人を決めてから足せば済む話です。
フォームを残すかどうかは「役割」で決める
LINEに寄せたうえでフォームも残すべきかは、次の3つのどれかに当てはまるかで判断できます。
- 必ず埋めてほしい項目がある(希望職種、型番、日時、住所など)
- ファイルを添付してもらう必要がある(履歴書、写真、図面)
- 管理画面で問い合わせ履歴を見返す運用が実際にある
ひとつも当てはまらないなら、フォームは無くしてLINEに寄せて構いません。逆に、ひとつでも当てはまるなら残す価値があります。
先ほどのクリニックの例では、採用の応募フォームが該当しました。証明写真と履歴書PDFのアップロード、希望職種10種からの選択という構成で、これはLINEのトークでは代替できません。この案件ではサイトを新しい仕組みに移行する途中でしたが、応募フォームだけは既存の管理システム側にそのまま残し、採用ページからリンクで飛ばすという形にしました。応募者から見ると途中でドメインが変わりますが、フォームを作り直す工数はゼロで済みます。
移行や作り直しのときは、全部を新しい側に載せ替えたくなります。ただ、フォームは項目・添付・通知先・自動返信がセットになっていて、作り直すと必ず検証工数が発生します。動いているフォームは、リンクで繋ぐだけで済むなら繋いだほうが早いです。
自動返信でLINEへ橋渡しする
フォームを残す場合、自動返信メールの中に「お急ぎの方はLINEからどうぞ」という導線を入れておくと、待たせている間の取りこぼしを減らせます。
このとき、自動返信のテンプレートにLINEのURLをそのまま書き込むのは避けてください。LINEのURLが設定されているときだけ、その段落を出すという書き方にしておきます。アカウント開設が間に合っていない、URLが差し替わった、といった場面で、リンク切れの案内文だけがメールで送られ続ける事態を防げます。実際に自社のサービスサイトでは、URLが空のあいだは該当の段落自体が出力されない作りにしてから公開しました。
あわせて、フォームには人間には見えない入力欄を1つ仕込んでおきます。自動プログラムはこの欄も埋めてしまうため、値が入っていたら弾く、という単純な仕組みでスパムの大半は止まります。
置き方で決めておく4つのこと
窓口の数と種類が決まったら、次は置き方です。ここを最初に決めておかないと、ページが増えるたびにバラつきます。
1. 並び順を全ページで固定する
前述のとおりです。「電話 → LINE → メール」のように順番を決め、例外を作りません。ページごとに主役の窓口を変えたくなる場面はありますが、変えるなら「このページだけは意図的に変える」と決めて記録に残します。
2. ボタンの寸法を共通ルールとして定義する
これは後から経路を足したときに崩れる代表格です。
たとえば「電話とLINEのボタンだけ幅の上限が決められていた」状態のサイトに、あとからメールのボタンを追加すると、メールだけ幅が違う、という見え方になります。作った直後は気づかず、スマホで並べて初めてわかります。
対策は単純で、CTAボタンであることを示す共通の目印を付け、その目印に対して寸法をまとめて指定することです。個別のリンク種別(電話ならこう、LINEならこう、と条件を分ける書き方)で指定すると、種別が増えるたびに漏れます。実際の案件では、スマホ表示時のCTAを幅354px・高さ52pxに統一し、本番の6ページすべてで、ページ内CTAとフッターCTAの3ボタンが同じ寸法になっていることを画面幅390pxで実測して確認しました。
3. スマホとPCは別々に設計する
スマホは画面下の固定バー、PCは画面右端の縦並びCTAかヘッダー内のボタン、という形が扱いやすいです。同じ部品を両方で使い回そうとすると、どちらかが窮屈になります。
4. PCでは電話番号を文字でも表示する
スマホでは電話番号のリンクをタップすれば発信画面が開きますが、PCの環境によってはこのリンクが反応しません。ボタンに「お電話でのご相談」としか書いていないと、PCで見た人は番号を知る手段がなくなります。
美容室の案件では、この状態が起きていました。対処として、ヘッダーのCTAと大型CTAバーに、リンクとは別に電話番号そのものを文字で表示しました。PCから見ている人が番号をメモできる、あるいはコピーできる状態にしておくのが確実です。
実装で崩れやすい箇所と、その防ぎ方
窓口の設計が正しくても、実装の詰めで機能しなくなることがあります。よく起きる3つを、予防の観点で挙げます。
CTAのリンク先は、全ページ・全部品で実測して確認する
制作の途中では、リンク先が仮の値のまま置かれます。これが本番まで残るのは珍しくありません。ページ数が20を超える規模になると、目視では追い切れなくなります。
確実なのは、仮の値が1つも残っていないことを機械的に数えて確認することです。あるクリニックの案件では、ページのHTML18枚と共通部品5つに対して、3つの窓口それぞれが54箇所ずつ存在することを数えたうえで、仮の値の残りがゼロであることを確認してから公開しました。「たぶん全部直した」で公開すると、押しても何も起きないボタンが本番に残ります。
CTAの差し替えを、後付けのスクリプトに頼らない
すでに公開されているサイトのCTAを変えるとき、ページの構造そのものを直さずに、あとから動くスクリプトで書き換える方法があります。手軽ですが、これは崩れやすい方法です。
具体的には、ページの内容が変わるたびに実行される仕組みの中で見出しやボタンを毎回書き換えると、書き換えがまた次の実行のきっかけになり、処理が止まらなくなることがあります。結果としてページが開かなくなります。表示の切り替えだけで済む変更なら、スクリプトではなく見た目の指定側で行うほうが安全です。恒久的に残す変更は、ページの構造側に持たせるのが原則です。
後から足した部品は、表示の条件から漏れやすい
スクロールに合わせて要素をふわっと表示させる演出を入れているサイトでは、あとから追加した部品が「表示待ち」のまま止まって、その場所が空白になることがあります。追加のタイミングが監視の開始より遅いと、監視の対象に入らないためです。
CTAのように必ず見えていなければならない要素には、こうした演出をかけないでおく。これだけで防げます。
計測はどこまで置けるか
フォームは送信完了のタイミングでコンバージョンとして計測できます。設定漏れがあると、問い合わせが来ているのに数字がゼロのまま、という状態になるので、公開後に必ずテスト送信して確認してください。
LINEは、友だち追加までの流入は追えますが、そこから先の会話は追えません。そのため、どのページから追加されたのかがわかるように、設置場所ごとにURLを分けておくのが実務的な回避策です。トップページからの導線、サービスページからの導線、記事からの導線を分けておけば、どのコンテンツが問い合わせを生んでいるかの当たりは付けられます。
まとめ|公開前のチェックリスト
ホームページの問い合わせをLINEに寄せるときは、次の5つを確認してください。
- 窓口は2〜3本に絞ったか。返信する人が決まっていない窓口、アカウントを持っていない窓口を置いていないか
- 必須項目・添付・履歴確認のいずれかが必要なら、フォームを残したか。残す場合、自動返信からLINEへ橋渡しできているか
- 並び順とボタンの寸法を、全ページ共通のルールとして決めたか。スマホとPCを別々に設計したか
- 仮のリンクが1つも残っていないことを、全ページ・全部品で確認したか。PCで電話番号が文字として読めるか
- フォームのテスト送信をして、通知先と計測が動くことを確認したか
LINEに寄せること自体は正しい判断です。押してもらいやすい窓口を用意するのは、集客の前段として効果があります。ただ、寄せた結果として受けきれない問い合わせが出るなら、そこは寄せる場所ではありません。窓口の数を減らすのではなく、役割を分けて減らす。この順番で決めていくと、公開後に作り直す手戻りが起きにくくなります。
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