美容室のWordPressテーマは何を基準に選ぶか|見た目より先に確認する5項目
美容室のWordPressテーマは何を基準に選ぶか|見た目より先に確認する5項目
「美容室 WordPress テーマ」で探している方へ、先に結論を書きます。
テーマはデザインの好みで選ばないでください。サロンサイトで後から効いてくるのは、次の5項目です。
- 予約導線(ヘッダーCTA・スマホ固定バー)を、テーマ標準の位置に置けるか
- スマホのナビゲーションが、見た目だけでなく実際に開くか
- 記事やお知らせのデータを、テーマが握っていないか(テーマを変えると消える構造になっていないか)
- カスタマイズの置き場所が、テーマ本体の外にあるか
- 重さと画像量を、店側で管理できる範囲に収まっているか
デザインは、この5項目を満たすテーマの中から選べば足ります。逆にこの5項目を確認せずに見た目で決めると、公開後に「直したいのに直せない」「乗り換えたいのに乗り換えられない」状態になります。
弊社(graciauto)は名古屋で店舗ビジネスのホームページ制作・LINE公式アカウント構築をしています。この記事の根拠は、実際に運用している3種類の現場です。愛知県内で20店舗超を展開する白髪染め専門サロンチェーンの店舗サイト群、名古屋市内の個人サロンのサイトとブログ、多機能な有料テーマで作られた18ページ規模のクリニックサイトの改修。テーマの選び方ひとつで、運用の手間は数倍変わります。
なお、テーマ選定の前に決めるのは、予約をどこで受けるかです。ここが決まっていないとチェック1が判定できないので、ホームページ制作で最初に決めるべきはデザインではなく予約導線を先に読んでください。
スタイルギャラリー、スタイリスト紹介、料金表、ブログ、インスタ連携。この一式が最初から入っている多機能テーマは便利に見えますが、多機能テーマは「デザイン」だけでなく「データの入れ物」と「機能」まで持っています。テーマがサイトの根っこを握ると、あとで変えたい部分だけを変えられません。
チェック1|予約導線をテーマ標準の位置に置けるか
サロンサイトの成果は、ここでほぼ決まります。確認するのはヘッダー右端(PC)、スマホ下部の固定CTAバー、各セクション末尾、フッターの4か所です。
このうちスマホの固定CTAバーが標準で付いているかを最初に見てください。付いていないテーマは自作で追加することになります。追加自体は難しくありませんが、@media(max-width:767px){body{padding-bottom:62px}} のように本文側の下余白を確保するところまでがセットです。ここを忘れると、フッターの一番下の情報が固定バーに永久に隠れます。
弊社の標準は2ボタン横並び(50%/50%・高さ58〜60px)で、左が予約、右がLINEまたは電話です。色はサイトのアクセント色で統一せず、予約ボタンをネット予約サイトのロゴ実色、LINEボタンを#06C755に合わせます。押した先の画面と色がつながるほうが押されます。
あわせて、テーマ側で決め打ちされている連絡手段を外せるかも確認してください。サロン向けテーマは「TEL / LINE / WEB予約」の3点セットを前提にしていることが多いですが、実務では3本揃わない店があります。名古屋市内の個人サロンの案件では、LINE公式アカウントを運用していなかったため、サイト内のLINEボタンとアイコンをすべて外し、予約導線を電話とネット予約の2本に統一しました。ヘッダーCTA、大型CTAバー、スマホ固定バー、モバイルメニュー、フッターの5か所すべてです。押しても何も起きないボタンは、置いた時点で信用を削ります。
もう1点、電話番号はリンクだけでなく文字でも出す設計にしてください。発信ボタンだけを置くと、PCで見ている人に番号が伝わりません。同じサロンでは、ヘッダーCTAと大型CTAバーに実番号を文字で表示する形にしました。番号は「押せる」と「読める」の両方が必要です。この観点はスマホで見ると「予約ボタン」が消えるでも扱っています。
チェック2|スマホのナビゲーションが、本当に開くか
テーマを検討する段階で、デモサイトをスマホ幅にしてハンバーガーメニューを実際にタップしてください。
テンプレート由来のサイトでは、メニューを開くボタンの見た目はあるのに、クリック処理が入っていないケースがあります。弊社が扱ったテンプレート群でも、複数のデザインパターンで開閉処理が未実装のまま残っていた例がありました。この状態で公開すると、スマホで記事に着地した人が予約ページにも料金ページにも行けません。流入がそのまま消えます。
同じ理由で、トップページとブログページの両方でナビを確認します。サロンサイトは「トップ=1枚もののLP的な作り」「ブログ=WordPress」と分かれることが多く、ブログ側にだけハンバーガーが無い構成になりがちです。実案件でも、ブログ側のテーマに開閉メニューが無く、画面幅1100px以下でナビが消えたまま代替が無い状態を見つけ、トップと同一構成の全画面オーバーレイメニューを移植しました。ブログは検索から直接着地する入口なので、ここで詰まると記事を書いた分だけ損をします。
確認の観点は、閉じた状態、開いた状態、リンクが全項目そろっているか、開放中に背景がスクロールしないか、横スクロールが出ないかの5点。幅は320px / 375px / 390px / 430pxで見ます。デモが満たしていないなら、自分のサイトでも同じことが起きます。
チェック3|記事やお知らせのデータを、テーマが握っていないか
ここが、テーマ選定で一番あとから効き、一番見落とされる項目です。多機能な有料テーマは、「お知らせ」「症例」「スタイル」といった独自の記事枠を、テーマ自身の機能として登録していることがあります。この形だと、テーマを変えた瞬間にその記事が管理画面から消えます。データベースには残りますが、どこからも編集できず、ブログに自動で集約されることもありません。
弊社が改修したクリニックサイトでは、有効テーマのプログラム内で「お知らせ」と「施術案内」の2つの記事枠が登録されており、該当記事は合計99件。テーマを外せば、その99件が一斉に見えなくなる状態でした。対処として、記事枠の定義だけを独立したプラグインに切り出し、テーマへの依存を断ってから乗り換える段取りを取りました。
この検証で分かった注意点が2つあります。1つ目は、テーマ依存の検証は必ずWordPress標準テーマに切り替えて行うこと。同じテーマの別バージョンに切り替えても、中身の登録処理は同じなので検証になりません。標準テーマで記事件数・URL・REST APIの応答まで一致することを確認して、初めて「外して安全」と言えます。
2つ目は、URLの形までテーマ設定に入っている場合があることです。同案件では記事枠のURLの一部がテーマのオプション設定から読み込まれており、サイトを複製したときにこの設定が引き継がれず、複製側だけURLの階層がズレていました。URL構造が変わるとSEO資産が切れます。
選定時の判断はこうです。独自の記事枠が必要なら、その定義はテーマの外(専用プラグイン、または投稿タイプ管理用のプラグイン)に持たせる。 テーマは見た目だけを担当させます。この切り分けを最初にやっておけば、記事を1本も失わずに乗り換えられます。
チェック4|カスタマイズの置き場所を、テーマの外にする
美容室サイトは公開後の調整が必ず入ります。料金改定、メニュー名の変更、キャンペーン表記。このときの改修をテーマ本体のプログラムに書き込まないのが原則です。有料テーマはアップデートされるので、直接書いた処理は上書きされて消えます。別案件では、テーマのプログラムを直接編集する案を採らず、テーマ更新の影響を受けない領域(mu-plugins)に処理を置きました。子テーマでも構いません。「テーマが更新されても生き残る場所に置く」ことが大事です。
同じ観点で、SEOのメタ情報をどこが出しているかも確認してください。実案件で調べたところ、メタ情報の出力元がテーマ内のSEO処理で、テーマ独自のカスタムフィールドを参照する作りになっていました。この構造だと、テーマを乗り換えた瞬間に全ページのメタ情報が消えます。SEOはテーマの外(専用プラグイン)に持たせるのが安全です。
見積もりの段階で「カスタマイズは子テーマ側に置きますか、プラグイン側に置きますか」と1問聞くだけで、相手の設計思想が分かります。
チェック5|重さと画像量を、店側で管理できる範囲に収める
多機能テーマは、使っていない機能のプログラムも読み込みます。スライダー、アニメーション、ギャラリー、ポップアップ。サロンサイトは写真が主役なので、ここに機能の重さが乗ると表示が明確に遅くなります。
さらに実務で問題になるのは、画像フォルダが放置で膨らむことです。次は20店舗超のサロンチェーンで店舗サイトを整理した実測値です。
| 店舗 | 整理前の画像フォルダ | 整理後 | 内容 |
|---|---|---|---|
| A店 | 66MB | 28MB | 未参照の画像533枚を退避 |
| B店 | 124MB | 14MB | 画像493枚+未使用動画89MBを退避 |
B店の89MBは、どのページからも参照されていない動画ファイルでした。テーマを何度も乗り換えたサイトほど、この種の残骸が積み上がります。
整理の原則は1つ。「公開ページが実際に表示している画像」を基準にする。 管理画面のメディア一覧を基準にすると、旧テーマ時代の画像まで「使用中」に見えます。実際のページを読み込んで参照先を集め、そこに無いものを別フォルダへ退避(削除ではなく退避)し、最後に全ページで画像切れがゼロだと確認する。この順番なら、消してはいけない画像を消す事故が起きません。
構成の選択肢として、トップページを軽量な独自実装にして、ブログだけWordPressに置くやり方もあります。前述のサロンチェーンでは、トップを独自実装、ブログを/wp/配下の軽量オリジナルテーマに統一しました。この形なら多機能テーマの重さを丸ごと外せます。移行時は、切り替え後にブログ一覧が記事一覧として表示されるか(旧サイトの固定ページが出ていないか)まで確認してください。表示速度の考え方はWordPressの表示速度改善はどこまでやるべきかにまとめています。
有料テーマ・無料テーマ・オリジナル、どれを選ぶか
5項目を踏まえた使い分けです。
| 選択肢 | 向いている店 | 注意点 |
|---|---|---|
| サロン向け有料テーマ | 1店舗・写真とメニューが揃っている・早く公開したい | 記事枠と機能をテーマが握りやすい。乗り換えの逃げ道を先に確認する |
| 汎用の軽量テーマ | ブログ主体で集客したい・自分で更新したい | サロン特有のギャラリーや料金表は別途作る前提 |
| オリジナル実装 | 多店舗・世界観で差をつけたい・長く使う | 初期費用は上がる。更新方法の引き継ぎを納品時に決めておく |
美容室専門をうたう制作会社の多くは、自社のカスタムテーマを複数サロンに横展開する形を取っています。弊社が競合サイトを9件分析した結果でも、共通の骨格(フルスクリーン写真のヒーロー、右上ナビ、ヘッダーCTA3点、白ベース+差し色1色)がはっきり見えました。この形は堅実に機能しますが、同じ骨格が並ぶのでテンプレート感は残ります。差をつけたいなら、骨格は定石どおりにして写真とコピーで勝つ、と割り切るのが現実的です。費用の内訳は美容室のホームページ制作費用の相場を参照してください。
多店舗なら「テーマ複製」の前に決めること
2店舗目以降をテーマ複製で作る場合、先に2つ決めると手戻りが消えます。
1つ目は、共通パーツを1か所にまとめること。 ページごとにヘッダーとフッターを個別に持たせると、必ず内容がズレていきます。実案件でも、下層ページのフッターだけメニューリンクが欠落していました。共通パーツを1本作り、変更はそこだけ触る運用に切り替えて解消しています。ヘッダーとフッターは全ページ共通にする。これは弊社の制作ルールとして固定しています。
2つ目は、複製元の文言が残らないよう検査すること。 テーマを複製すると、テンプレート名や元店舗名が本文に残ります。実案件では採用セクションに元テンプレートの店名が1か所残っていました。公開前にテンプレート名でサイト内を全文検索して、残骸ゼロを確認するのが確実です。
細部の数値もズレます。実案件で見つけたのは、ヘッダーのメニュー間隔が40pxと32px、背景の透過率が0.94と0.96というレベルのズレでした。同じサイト内で見え方が変わるのは避けたいので、実測して揃えます。
公開前に必ず見る運用まわりの3点
サロンサイトのブログで取りこぼしやすい設定です。
- 記事のURLは英数字で指定する。 日本語タイトルのまま投稿するとURLも日本語で生成され、検索結果やSNSシェアで文字化けした長い文字列になります。
- カテゴリ名を「未分類」のまま使わない。 テーマがカテゴリ名をそのまま画面に出す作りだと、トップのブログ欄に「未分類」と表示されます。
- ブログ欄の取得失敗時の見え方を決める。 架空のダミー記事が並ぶ設計は避け、取得できなければ欄ごと非表示にします。
決め方の手順
順番だけまとめます。
- 予約をどこで受けるか決める(電話・ネット予約・LINEの本数と優先順位)
- 候補テーマのデモをスマホ幅で開き、ハンバーガーと固定CTAバーを実際に触る
- 独自の記事枠が必要かを判断し、必要ならテーマの外に持たせる方針を制作会社に伝える
- カスタマイズとSEOの置き場所を確認する(子テーマ/プラグイン)
- ここまで通過した候補の中から、デザインの好みで選ぶ
デザインを最後に置くのは、1〜4を満たすテーマは複数あり、その中ならどれを選んでも運用が破綻しないからです。逆にデザインから入ると、選べる範囲が1つに絞られ、あとの4項目を諦めることになります。
まとめ
美容室のWordPressテーマは、機能の多さではなく構造の切り離しやすさで選んでください。予約導線を標準の位置に置けること、スマホのナビが実際に動くこと、記事データをテーマが握っていないこと、カスタマイズがテーマの外にあること、重さを管理できること。この5項目を通ったテーマなら、3年後にデザインを変えたくなっても、記事もURLも失わずに乗り換えられます。
graciautoでは、美容室・店舗ビジネスのサイトを予約導線から設計してお作りしています。既存サイトのテーマ構成から「乗り換えられる状態か」を診断することも可能です。
FAQ
Q. 今のテーマから乗り換えたいのですが、記事は消えますか?
通常のブログ記事は残ります。注意が必要なのは「お知らせ」「症例」など独自の記事枠で、その枠が今のテーマの機能として登録されている場合は編集できなくなります。まずWordPress標準テーマに切り替えて、記事件数とURLが維持されるか検証してください。
Q. テーマを決める前に、店側で準備しておくことは?
予約方法の本数と優先順位、料金表、スタイル写真、スタッフ紹介文です。特に予約方法が決まっていないと、CTAの数と置き場所が決まらず、テーマの適合判定ができません。