複数事業のホームページは分けるべきか|1サイトにまとめてよい条件と、分けないと共倒れする条件
複数事業のホームページは分けるべきか|1サイトにまとめてよい条件と、分けないと共倒れする条件
「業態が増えてきたので、ホームページをどうにかしたい。1つにまとめるべきか、事業ごとに分けるべきか」。複数の事業を持つ会社から、実際によくいただく相談です。
結論から言うと、多くの会社にとっての正解は「まとめる」でも「分ける」でもなく、その中間です。会社全体を束ねる本体サイトを1つ作り、その下に事業ごとの単体LP(ランディングページ)をぶら下げる。この2層構造なら、まとめる利点と分ける利点を両取りできます。
完全に別サイトへ分けるべきなのは、事業同士のブランドの距離が遠く、同じ会社だと見えることがマイナスに働く場合だけです。逆に、1つのサイトに全事業を押し込んだままでよいのは、事業間で客層がほぼ重なっている場合だけ。この記事では、実際の制作相談で使っている判断基準と、費用の実額配分まで解説します。
—
1. 結論|「本体1つ+事業別LP」の2層構造が基本形
事業が複数ある会社では、次の2つの問題が同時に起きています。
- 会社全体をまとめて見せる「顔」がない。取引先や求職者が社名で検索したとき、全体像の分かるページがない
- 事業ごとにお客様が違うため、1つのページに全部を詰め込むと、誰にも刺さらない
この2つは性質が逆なので、どちらか片方だけを解決しようとすると失敗します。まとめるだけでは2が残り、分けるだけでは1が残る。だから役割を分けます。
- 本体サイト=幹。会社としての信頼・全体像・問い合わせの受け皿。社名検索と指名客を受ける
- 事業別LP=刃。広告や検索から来た「その事業のお客様」だけに絞って刺す1枚もの
graciautoのサイトもこの構造です。ホームページ制作・LINE公式アカウント構築・AI導入支援という複数のサービスを本体で束ね、サービスごとの単体LPを/lp/配下に並べています。本体とLPを共通のデザイン基盤で作っておくと、LPは2本目以降ほど短い納期で仕上がるという実務上の利点もあります。
—
2. 判断基準は4つ|ブランドの距離・検索意図・更新体制・予算配分
構成を提案するとき、実際に確認しているのは次の4点です。
ブランドの距離
事業同士が「同じ会社がやっていて自然」に見えるかどうか。例えばWeb制作とWeb広告運用なら距離が近く、1つの本体にまとめて問題ありません。一方、高級エステと格安リサイクル買取のように、並べると互いの世界観を壊す組み合わせは、本体を分けるか、少なくともデザインとドメインを分けます。
検索意図(お客様が誰か)
事業ごとに検索する人が違うなら、着地するページは分けるべきです。名古屋のハウスクリーニング会社の実案件では、水回り清掃・エアコン清掃・床下サービスという3つのメニューそれぞれに専用LPを用意し、本体のコーポレートサイトとは別のURLで広告の飛び先にしました。「エアコン掃除を頼みたい人」に床下の話は不要だからです。
更新体制
サイトの数だけ、更新の手間と保守費がかかります。更新担当が実質1人の会社が事業ごとに独立サイトを持つと、ほぼ確実にどれかが放置されます。情報が古いまま放置されたサイトは、無いほうがましなくらい信用を下げます。体制が細いなら、更新するのは本体1つに集約し、LPは「完成させたら頻繁には触らない」設計にするのが現実的です。
予算配分
一度に全事業分を作ろうとすると、1事業あたりの予算が薄まって全部が中途半端になります。本体を先に固め、LPは売上インパクトの大きい事業から1本ずつ。反応を見ながら次のLPに進む方が、同じ総額でも成果につながります。
—
3. 実例|複数業態の会社への構成提案
実際にあった相談を紹介します。「業態が増えたため、各事業をまとめるホームページを作りたい。今後、単体のLPも作っていきたい」という、まさにこの記事のテーマそのものの依頼でした。
このとき提案した構成が、先ほどの2層構造です。
- まずヒアリングで業態の棚卸しをする(どの事業に、どんなお客様が、どの経路で来るか)
- 本体サイトの構成案を1週間で提出
- 本体サイト(10ページ前後)を2〜3週間で実装し、着手から約1ヶ月で公開
- 以降、優先度の高い業態から単体LPを1本ずつ制作
ポイントは、いきなり全部を作る契約にしないことです。発注側から見ても、最初の1ヶ月で「幹」ができ、その後は効果を確かめながら「刃」を増やせるので、予算判断がしやすくなります。
—
4. 費用の実額|本体29.8万円+LP15万円/本という配分
上の相談で実際に提示した金額(税別)がこちらです。
- 本体サイト(10ページ想定・スマホ最適化・SEO/AI検索対応・問い合わせ導線): 298,000円
- 事業別LP: 150,000円/本
初回は「本体+最優先の1事業LP」で約45万円。仮に予算100万円なら、本体+LP4本+アクセス解析・広告計測の設定一式まで収まる規模感です。
この配分には根拠があります。本体とLPを同じ制作会社が共通基盤で作ると、2本目以降のLPはデザイン設計を流用できるため、制作の実時間が大きく減ります。事業ごとに別の業者へバラバラに発注すると、この共通化が効かず、デザインもトーンも揃わない。複数事業のサイトは「どこに頼むか」より先に「全体を1つの設計で考えてくれるか」で選ぶことをおすすめします。
—
5. 進める順番と、起こりやすい失敗
順番は「本体→LP」が原則です。逆にLPだけを先に量産すると、広告から来たお客様が会社のことを調べたときに受け皿がなく、せっかくの広告費が信頼の確認で漏れていきます。
あわせて、複数事業のサイト構成で起こりやすい失敗を挙げておきます。事前に知っていれば避けられるものばかりです。
- まとめすぎ: トップページに全事業を均等に並べると、どの事業のお客様にも「自分向けのサイトではない」と映ります。本体のトップは会社の信頼を見せる場所と割り切り、売り込みは各事業ページとLPに任せます
- 分けすぎ: 事業ごとにドメインとサイトを乱立させると、更新が止まる・保守費が事業数分かかる・検索評価が分散する、の三重苦になります。分けるのは「ブランドの距離が遠い」事業だけに絞ります
- 順番の失敗: 全事業分を同時に作り始めると、公開がいちばん遅い事業に全体が引きずられます。1本ずつ公開して、動きながら次を作る方が早い
—
FAQ
Q. 事業ごとにドメインを分けたほうがSEOに有利ですか?
多くの場合、不利になります。検索エンジンからの評価はドメイン単位で積み上がるため、分けるほど1つあたりの評価が薄まります。ブランド上の理由がないなら、本体ドメインの配下(下層ページやディレクトリ)に事業ページを置く方が、記事やLPを追加するたびに本体の評価に積み上がります。
Q. 事業ごとに屋号(ブランド名)が違う場合はどうしますか?
屋号ごとの見せ方と、運営会社としての表記を分けて設計します。お客様向けの顔は屋号、特定商取引法表記や会社概要は正式社名、という書き分けです。詳しくは屋号と会社名が違うときのサイト表記で解説しています。
Q. すでに事業ごとにバラバラのサイトがある場合は?
いきなり統合せず、まず本体サイトを新設して各サイトへの入り口をまとめるのが安全です。既存サイトに検索流入や被リンクがある場合、統合=URLの変更はSEO資産を失うリスクを伴います。更新が止まっているサイトから順に、リダイレクトを設計した上で本体へ吸収していきます。
—
まとめ
複数事業のホームページは、「1つにまとめるか、分けるか」の二択で考えると失敗します。会社の信頼を受ける本体サイトを1つ、事業ごとのお客様に刺すLPを1本ずつ、という2層で設計すれば、まとめる利点と分ける利点を両取りできます。
判断に迷ったら、ブランドの距離・お客様の違い・更新体制・予算配分の4つで整理してみてください。graciautoでは複数事業の構成設計から本体・LPの制作まで一貫してお受けしています。自社の場合はどう分けるべきか、構成の段階からの相談も歓迎です。