ECサイトの導線は「孤立ページ探し」から直す|どこからもリンクされないページの見つけ方と整理の判断
ECサイトの導線は「孤立ページ探し」から直す|どこからもリンクされないページの見つけ方と整理の判断
「商品は登録してあるのに売れない」「カテゴリを増やしたら、どこに何があるか自分でも分からなくなった」。ECサイトの導線の相談は、たいていこの言葉から始まります。そして多くの場合、最初に手をつけるのは購入ボタンの色やバナーの配置です。
結論から書きます。ECサイトの導線を直すなら、先にやるべきは「孤立ページ探し」です。孤立ページとは、サイト内のどのページからもリンクされていない商品ページやカテゴリページのこと。存在はしているのに、お客様がたどり着く道がない。この状態のページが何件あるかを把握しないまま目立つページの見た目を変えても、売り場の一部が閉まったままになります。
導線の監査は「到達できるか」を2方向で確認する作業です。
- 入口から順にたどって、たどり着けないページ(孤立ページ)がないか
- 置いてあるリンクをたどって、行き止まり(404・空のカテゴリ・リンク先未設定)がないか
この記事では、名古屋の革製品ネットショップで実際に行った全件監査をもとに、孤立ページの見つけ方、見つかったものの分類、消すか残すかの判断基準を書きます。
孤立ページが生まれる仕組み|「作った」と「つながっている」は別
ECサイトの管理画面で商品を登録すると、商品ページは自動的にできます。ここが落とし穴で、ページができることと、そのページへの道ができることは別です。カテゴリ(コレクション)に入れ忘れた商品、カテゴリを改名したときに外れた商品、企画用に作った複製品。こうした商品は公開状態のままURLだけが存在し、検索エンジンにも見つけられにくく、サイト内の誰からもたどり着けません。
特に孤立が増えやすいのは、次の3つの操作の後です。
- カテゴリ構成の変更(カテゴリの統合・改名・URL変更)
- 商品の複製(別デザインのページ用にコピーを作る、季節企画用にコピーする)
- 一括登録・一括更新(CSVでの登録、アプリでの自動作成)
どれも普通の運用で起きる操作なので、防ぐより「定期的に探す」方が現実的です。
実例|商品491件・内部リンク240本を全件確認して分かったこと
名古屋の革製品ネットショップで、カテゴリ別の専門店ページを10本立てた構成のサイトを監査したときの実測です。監査範囲は、トップページ、専門店ページ10本、その配下のカテゴリ27本、専門店に属する商品491件、公開中の全商品カタログ1,275件、主要な内部リンク240本。
結果を先に並べます。
| 確認項目 | 結果 |
|---|---|
| トップ → 専門店ページ10本への入口 | 10/10 正常(各1本ずつリンクあり) |
| 専門店に属する商品491件の表示 | 491/491 正常(HTTP 200) |
| 内部リンク240本 | 404が6本 |
| 商品が1つも入っていないカテゴリ | 3本 |
| 専門店タグはあるが既知のカテゴリに属さない商品 | 37件 |
| うち意図的に一覧から外している商品(カスタムオーダー用の部品) | 20件 |
| 孤立商品(整理対象) | 17件 |
見た目の確認では「全部つながっている」ように見えたサイトです。トップから専門店への入口は全部生きていて、商品ページも全件開く。それでも、たどる方向を変えると17件の孤立商品と6本の行き止まりが出てきました。
孤立17件の中身は2種類だった
17件を1件ずつ、公開されている商品データ、監査台帳、管理画面の3つで照合しました。分類すると2種類です。
- 重複コピー: 12件。同じ商品名で「通常の商品ページ1つ+専門店用の商品2つ」という三重状態。専門店用に複製したときに、古い方のコピーがカテゴリから外れたまま残っていたもの。商品名・価格・説明文・タグ・画像点数・バリエーション数・SKU(在庫管理用の商品番号)まで、正しく残っている方と完全に一致していました
- 配置漏れ: 5件。専門店用の商品としては正しく作られているのに、カテゴリに入れ忘れていたもの。バッグ1件・キーホルダー1件・コインケース1件・ポーチ2件
同じ「孤立」でも、対処は正反対になります。重複コピーは残しておくと害があり、配置漏れは消してはいけない商品です。ここを見ないで「孤立=削除」と処理すると、売れる商品を5件消すことになります。
行き止まり6本は「URLを変えた跡」
内部リンク240本のうち404だった6本は、内訳がはっきりしていました。1本は専門店ページの主ボタンで、リンク先に指定されたカテゴリURLが存在しなかったもの。残り5本は、全ページ共通のフッターに残っていた古いカテゴリURLです。カテゴリのURLを日本語から英語に変えたのに、フッターの設定が旧URLのままになっていました。
全ページ共通の部品に古いリンクが残ると、サイト内の全ページから404へ導線が伸びることになります。1か所の修正漏れが、影響範囲では最大になる典型です。
孤立ページの見つけ方|手作業で追わず、一覧同士を突き合わせる
孤立ページは、ページを1枚ずつ開いて探すと必ず見落とします。「存在する一覧」と「たどり着ける一覧」を別々に作り、差分を取るのが正しいやり方です。
手順1: 存在するページの一覧を作る
管理画面からの書き出し、または公開データ(プラットフォームによっては商品一覧をJSON形式で公開しています)を使って、公開中の全商品・全カテゴリのURLを一覧にします。この時点で1,000件を超える規模になることが多いので、表計算ソフトかスクリプトで扱います。
手順2: たどり着けるページの一覧を作る
トップページを起点に、リンクを順にたどって到達したURLを記録します。トップ → カテゴリ入口 → カテゴリ一覧 → 商品ページ、の順です。ここで重要なのは「一覧ページに載っている」を到達と数えるかどうかを先に決めることです。何百件もある一覧の50ページ目に載っているだけの商品は、実質的にたどり着けません。今回の監査では、カテゴリへの所属を到達の条件にしました。
手順3: 差分を取り、意図的なものを先に除外する
手順1にあって手順2にないものが孤立候補です。ただし、すべてが問題ではありません。今回の37件のうち20件は、カスタムオーダーの組み立て画面でだけ使う部品商品で、一覧に出さないのが正解でした。意図的に隠している商品の除外リストを先に作ってから差分を見ないと、正しいものまで修正対象に入ります。
手順4: 反対方向も確認する
置いてあるリンクを全部たどって、リンク先のステータス(200か404か)、リンク先が空のカテゴリでないか、そもそもリンク先が設定されていない(「#」のまま)ボタンがないかを確認します。今回は主要240本を対象にし、共通フッターの旧URL5本と主ボタン1本の404、リンク未設定のボタンが3つの専門店ページで見つかりました。
自動で全件確認するときは、サーバー側のアクセス制限(429エラー)にかかることがあります。これはサイトの不具合ではないので、待ってから低速で再確認し、実際の404だけを数えます。
整理の判断基準|消すか、戻すか、残すか
孤立ページが出そろったら、1件ずつ次の3択に振り分けます。
重複コピーは「削除」ではなく「下書き化+転送」
同じ商品が複数URLで存在する状態は、検索エンジンからは重複ページに見え、在庫の管理も分かれてしまいます。今回も4タイトルで「孤立したコピーだけ売り切れ表示、正しい方は購入可能」という分岐が起きていました。
ただし、削除は最後の手段です。旧URLは過去のSNS投稿や検索結果、お客様のブックマークに残っている可能性があります。正しいやり方は、①孤立側を下書き(非公開)に落とし、②旧URLから正しく残す商品URLへ301リダイレクト(恒久的な転送)を設定すること。今回は12件すべてを下書き化し、12件の転送を設定して、12/12がHTTP 301で正しい商品に着地することを確認しました。削除は、転送が効いていることを確認したあとで、必要なら行えば足ります。
配置漏れは「正しいカテゴリへ追加」だけ
商品として正しく作られているなら、消す理由はありません。所属すべきカテゴリを決めて追加し、公開データで所属を確認します。今回は5件を各カテゴリに追加し、5/5の所属を確認しました。
このとき、売り切れ表示になっている商品は一緒に販売設定を見直します。今回の2件は「店舗に在庫がなければ製造して発送する」運用の商品だったので、「在庫切れでも販売を続ける」設定を有効化し、カートに入ることまで確認しています。カテゴリに戻しただけで売り切れ表示のままでは、導線をつないだ意味がありません。
意図的な孤立は「除外リストに記録して残す」
部品商品や、特定の画面からだけ買える商品は、孤立が正解です。ただし、次の監査でまた候補に上がるので、なぜ一覧に出さないのかを除外リストに書いて残すこと。担当が変わったときに「孤立しているから削除」と判断されるのを防ぎます。
商品を複製して導線を分けるときに、最初から決めておくこと
今回の孤立12件は、専門店ページ用に商品を複製したことが発端でした。「専門店のデザインから通常のデザインに戻って迷子になる」のを防ぐために、専門店用の商品コピーを作って導線を完全に分ける設計です。この設計自体は目的に合っていますが、複製には副作用があります。
- 在庫が別管理になる。同じ現物なのに商品が2つあるので、片方だけ在庫0で売り切れ表示になる。今回のサイトでは、通常側は買えるのに専門店側だけ売り切れになっていた商品が114件ありました
- 複製をやり直すたびに古いコピーが残る。カテゴリから外れた孤立コピーが積み上がる
- 検索エンジンから重複ページに見える
複製で導線を分けるなら、設計段階で次を決めておくと、この副作用を未然に防げます。
- 複製した商品には必ず専用のタグとカテゴリをセットで付け、「タグはあるがカテゴリなし」を機械的に検出できる状態にする
- 在庫を正確に管理しない運用(製造対応・取り寄せ対応)なら、複製側は最初から「在庫切れでも販売を続ける」にする
- 複製せずに済む方法があるか先に確認する。同じ商品を別テンプレートで表示する機能(URLに表示指定を付ける方式)が使えるプラットフォームなら、商品は1つのまま見た目だけ分けられ、在庫も重複もそもそも発生しない
3つ目は特に重要で、今回のサイトでも、通常商品のURLに表示指定を付けるだけで専門店デザインに切り替わり、カートも在庫も1商品に統一できることを本番で確認しています。複製は「最も手っ取り早いが、後で監査コストを払う」方法だと理解した上で選ぶものです。
監査は「直したあと」まで含めて1セット
整理を終えたら、最初と同じ方法で再確認します。今回の確認項目は次の通りです。
- 下書き化した12件の旧URLが、すべて301で正しい商品に転送されるか
- 転送先12件が購入可能な状態か
- カテゴリに追加した5件が公開一覧に含まれているか
- 販売設定を変えた2件が、実際にカートへ入るか(匿名カートでの追加がHTTP 200)
- 共通フッターの旧URLが、全ページで0件になったか
「管理画面で保存した」は完了ではありません。公開側のデータで確認して初めて完了です。特に共通部品の修正は、1ページで確認しただけでは他ページの反映を見ていないので、必ず複数ページで見ます。
まとめ
- ECサイトの導線改善は、目立つページの見た目より先に「孤立ページ探し」から始める
- 孤立ページは「存在する一覧」と「たどり着ける一覧」の差分で機械的に見つける。1枚ずつ開いて探さない
- 意図的に隠している商品の除外リストを先に作る。作らないと正しいものまで直してしまう
- 孤立の中身は「重複コピー」と「配置漏れ」に分かれ、対処は正反対。重複は下書き化+301転送、配置漏れはカテゴリ追加+販売設定の確認
- 反対方向(行き止まり)も同時に見る。共通フッターの旧URLは影響範囲が最大
- 商品を複製して導線を分けるなら、タグとカテゴリをセットにし、在庫設定を先に決め、複製せずに済む方法がないか先に確認する
商品数が数百件を超えたら、この監査を年に1〜2回、カテゴリ構成を変えたときはその直後に回すのが目安です。孤立ページは放っておいても減りません。探す仕組みを持っているかどうかで、売り場の「閉まっている区画」の量が決まります。