WordPressのGUI操作より、AIでコードを書いた方が速い時代になった――graciautoがWEB制作の軸を変えた理由

クライアントから「SWELLで作ってください」と言われたとき、少し考えるようになった。

SWELLはWordPressの人気テーマだ。使いやすい管理画面、豊富なブロック、国産ゆえのサポート。確かに良いテーマだ。しかし「SWELLで作る」という判断が、本当にクライアントの長期的な利益になるのかどうか、疑問を持ち始めていた。

その疑問が確信に変わったのは、Claude Codeとの作業を本格的に始めてからだった。

GUIツールの「便利さ」という罠

WordPress・SWELL・Wix・SquarespaceといったGUIツールの価値命題は「難しいことを簡単に」だ。プログラミングの知識がなくても、ドラッグ&ドロップでウェブサイトが作れる。

しかしこの価値命題を担っていたのは「GUIという抽象化レイヤー」だ。複雑なコードを、人間が操作しやすいボタンやスライダーに変換する。その変換コストを払って「わかりやすさ」を手に入れる仕組みだ。

ChatGPTやClaude Codeの登場で、この構造が変わった。「難しいことを簡単に」という役割を、AIが担い始めた。「ヘッダーの背景色を青に変えて」と日本語で伝えれば、AIがCSSを書いてくれる。GUIでクリックするより、むしろ速い。

GUIツールの存在意義が根本から揺らいでいる。

WordPressがAIと相性が悪い構造的な理由

WordPressはAIによる自動化と相性が悪い。理由は3つある。

第一に、GUIが前提の設計になっていること。ブロックエディタ・Elementor・ACFのカスタムフィールドは、人間が画面をクリックして操作することを前提に設計されている。APIからデータを更新しようとすると、想定外の制約に当たることが多い。

第二に、データがDBの中にシリアライズされていること。WordPressはカスタムフィールドの値をPHPのシリアライズ形式でデータベースに保存する。外部から読み書きするには、この形式を理解して処理する必要がある。

第三に、テーマ・プラグインの独自オプション体系が複雑であること。SWELLやElementorはそれぞれ独自のオプションキーを使っている。AIがこれを把握して正確に操作するのは、構造上難しい。

つまりWordPressは「人間のGUI操作」を前提にした設計であり、AIによる自動化には向いていない。

AI時代に相性のいいWEB制作の構成

「AIが更新・管理できる構成」という観点で設計し直すと、自然とHeadless CMSの方向に向かう。

Headless CMSはコンテンツ管理と表示の分離が前提だ。CMSはAPIでデータを返すだけ。フロントエンドは別のフレームワーク(Next.jsなど)で描画する。この構造だと、AIがAPIを通じてコンテンツを読み書きするのが容易になる。

graciautoが採用している構成は次の通りだ。

  • フロント:Next.js App Router + Tailwind CSS
  • CMS:microCMS(コンテンツのAPI管理)
  • ホスティング:Vercel(デプロイ・CDN)
  • ブログ:WordPressをHeadlessで利用(REST API経由)

ブログはWordPressを使うが、「表示はWordPressがする」のではなく「データを返すAPIとしてWordPressを使う」だけだ。フロントエンドから見てWordPressはただのデータソースに過ぎない。

graciauto自体がこの構成で動いている

graciauto.jpのコーポレートサイトは、React + TypeScript + Vite + Tailwindで構築している。WordPressもSWELLも使っていない。

このサイトを作る過程で、AI(Claude Code)を使ったコード制作の実力を実感した。「ここのセクションをこうしたい」と日本語で伝えると、Reactコンポーネントが生成される。細かいデザイン調整も、CSSを直接書く形で指示できる。GUIのブロックエディタでポチポチ操作するより、ずっと速い。

ヘッダーのデザイン変更、各ページのヒーロー背景画像の追加、サービスページの新設。これらをAIとの対話だけで実現できた。従来のWEB制作なら数日かかる作業が、数時間で完了する。

クライアントへの説明をどうするか

「SWELLじゃないと更新できない」という懸念を持つクライアントもいる。この懸念は正当だ。非エンジニアがサイトを自分で更新したい場合、管理画面のわかりやすさは重要だ。

graciautoの回答はこうだ。「更新が必要な部分(ブログ・お知らせ・メニュー)はWordPressのHeadless構成で管理画面から対応できるようにする。デザインの骨格は固定して、コンテンツだけを更新可能にする」。

全部をWordPressで管理しようとするから複雑になる。デザイン(固定)とコンテンツ(更新可能)を分離するだけで、クライアントの使い勝手も上がり、AI管理との相性も良くなる。

「SWELLで納品して終わり」モデルからの脱却

WEB制作会社の旧来のビジネスモデルは「納品して終わり」だ。SWELLや既製テーマで作り、クライアントに渡す。以後の更新はクライアント自身がGUIで操作する。

このモデルは短期的にはシンプルだが、長期的な収益が生まれにくい。一度納品すると、次の接点がない。

AI時代の構成に切り替えると、別のモデルが成立する。「AIが更新できる構成で保守も継続受注する」モデルだ。サイトのコンテンツ更新・SEO対策・新機能追加をAIで効率化しながら、月額の保守契約を継続する。クライアントにとっては自分で更新する手間が省け、こちらとしてはAI活用で工数を抑えながら収益が続く。

これは「仕組みで稼ぐ」という設計思想とも一致する。

まとめ

WordPressのGUIツールが「難しいことを簡単に」という価値をAIに奪われつつある。AI時代のWEB制作は「AIが扱いやすい構成で作る」ことが競争優位になる。

graciautoはこの変化を先取りして、Headless CMS×Next.js×AI制作の構成を標準としている。サイトリニューアルや新規制作をご検討の方は、まずご相談ください。

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